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五月五日(子供の日)雑感

里山 勉

 

今の憲法や法律は、家族や家庭の在り方について一つの理想像を持っています。家族がお互いの人格を認めあい、理解して協力しあう関係を作る事であります。そしてそのような家庭を土台にして責任のある市民から成り立つ近代的な社会をつくろうというものであります。

この事は、例えば「国民の祝日」に関する法律をみても気がつきます。この法律の狙いは、自由と平和を求める日本国民が、美しい風習を育て、よりよい社会、より豊かな生活を築きあげるために、国民がこぞって祝日を祝おうというものであります。

この中には、「成人の日」(一月十五日)「子供の日」(五月五日)「敬老の日」(九月十五日)等、家族に関する祝日が目立ちます。特に家族の中で、一人前の年齢になった人や、子供、老人等、特別にいたわる必要のある人達と、国民全体、社会全体を祝いその祝日の意義を考えてみようというものであります。

五月五日(子供の日)は、端午の節句ともいいます。端午とは、本来は月の初めの午の日の事。午の音が五に通じるところから、特に五月五日をさすようになったそうです。

古来中国では、五月はなぜか物忌みの月とされ、この日に野に出て薬草を摘んだり、菖蒲酒を飲んだりして、けがれを清める風習があったようです。日本でもこの時期は、若い女の子が、田植えの前に家にこもって身を清める「さつき忌み」の行事があり、この二つが合わさって端午の節句に。

 

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それなら端午の節句って、もとは女の子が主役だったはずなのに、男の子の節句になったのはどういうわけ?

武家社会となった鎌倉時代

以降、この日につきものの菖蒲が尚武に通じることから男子の節句となり、立身出世を願って鯉のぼりをたてるようになりました。

 

 

 

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