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1. メンタルヘルス対策〔第74・75表参照〕

まず、従業員のメンタルヘルスについて何らかの対策を講じているか、という問いには、288社から回答があり、全体では「講じている」が37.5%、「講ずる予定がある」が7.6%と両者合せても45.1%と5割に満たない結果を示した。また、企業規模が大きい企業ほどメンタルヘルス対策を講じている割合が高く、「5千人以上」の規模では71%の企業がメンタルヘルス対策を講じているものの、「千人未満」の企業においては、その対策は僅か10%と規模間格差が特に大きくなっている。

産業別にみると、「電気・ガス・熱供給、水道業、サービス業」の産業が「講じている+講ずる予定がある」が57%と最も高く、次いで「運輸・通信業」が56%となっているが、「農林漁業、鉱業、建設業」(35%)、「卸売・小売業、飲食店」(33%)では、メンタルヘルス対策の対応は低くなっている。

平成10年版労働白書は、仕事や職業生活で「強い不安、悩み、ストレス」を感じる者の割合が、1982年の50.6%から1997年には62.8%へと上昇しているとし、また、従業員の福利厚生に対するニーズもメンタルヘルス対策が男性高年齢者で高くなっていると指摘するなど、メンタルヘルス対策の重要性を述べている。この点を踏まえて検討すると、45.1%という数値は、低いと見るべきではないだろうか。メンタルヘルス対策を推し進めることは、職場不適応の早期発見、職場内の良好な人間関係の成立、従業員の志気高揚、明るい働きがいのある職場作りに寄与し、究極的には職場の活力の向上、能率の増進をうながすことともなり、特に「2千人台以下」の規模の企業を中心に一層のメンタルヘルス対策への取組みが重要であると思われる。

 

第74表 職場におけるメンタルヘルス対策

1] 企業規模別

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第75表 職場におけるメンタルヘルス対策

2] 産業別

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