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これもあらかじめ準備した定規を使って、計測断面位置を定盤(地)面上に描く作業から始め、戸外では陽光による昇温時の作業を避けて、手早く短時間に完了させるのが要点である。対象物の裾付や所要の足場などは、前日に完了しておくのである。

当然に、トランシットによる計測と数値計算で、このめんどうな型取りに代えることができるが、これまでは光学機器の操作に慣れないためか、実施例は少ない。

 

現場型取りによる現尺線図の修正については、本書の範囲外とし、別冊にて説明する。 修理船での、凹損外板取換えなどの現物合せも同じ手法である。

 

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図3.1.16 現場型

 

3.2 治具型

生産性向上のためには、つどの建造船によらない共通して使える耐久型を整備してゆく必要があり、これらの型を、治具型と一括して説明しよう。

造船業は、機械工業の一部でありながら、ジグに対する感覚が薄いとされる。これは單品生産がベースであることと、機械設備などの依存が少なく、現場合せガス切りなど野帳場感覚が残っているからであろう。

造船のジグ化に際しては、金船共通のモールドライン原則、部材端部詳細、円弧の跳び寸法…の制定など設計の標準化が先決である。

ジグ形状や治具型には、簡単な略称か符号を付ける。

 

3.2.1 マーキング用標準型

●標準円弧

シリーズ化された跳び寸法の型がマーキン作業場に常備されておれば、その寸法の部分の型作成は「角出し」や「当り付け」で済むし、定規表現にしても一部型はいらない。

小さいR寸法では1/2円を、大きいRでは1/4円弧を準備するとよい。食違いが起こらないように型定規作成の現図場にも1セット置いておく。

 

●標準開孔

この治具型があれば、MH:マンホールや、LH:軽め孔を、中心や軸の位置で与えるだけでマーキンできる。

特に高応力部での精円開孔や楕円コーナーには便利である。

 

 

 

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