2-2. 実施内容
(1) 既存の固形物焼却技術の調査研究
固形物焼却の自動化と完全焼却を行うには、投入口から投入された含油スラッジ、固形廃棄物が、完全焼却処理された状態で灰出口より排出される必要があり、そのためには、焼却後の灰を掻き出す自動灰出機構と、焼却中に処理物を掻き回す作業を行う撹絆機構を備えた焼却炉であることが要求される。
現在、固形廃棄物を焼却処理する炉として、回転炉床式、自動攪拌装置式、ロータリキルン等のものが使用されており、これら炉の仕様及び運転状況を調査することによって、試作炉設計に役立てた。
今回調査を行ったのは、下水処理場の汚泥処理に使用されている汚泥乾燥焼却用自動攪拌装置付焼却炉と、現在、舶用において実績のある回転炉床式焼却炉である。その調査結果を【付表-1】に示す。
(2) 自動攪拌装置付焼却炉の設計
これからの舶用で使用される焼却炉は、2000年より適用される予定のIMO(MARPOL73/78付属書V)基準に準拠していることが要求されており、試作炉設計を行うにあたっては、このIMO基準に対応させることが重要である。IMO基準のうち本調査研究で確認する項目は、運転要目と排出基準に絞った。
IMO基準には、運転要目と排出基準以外に、材料及び製造、操作制御等が定められているが、本調査研究内容と直接関係しないので確認項目より省いた。IMO(MARPOL73/78付属書V)基準を【付表-2】に示す。
既存の固形物焼却技術の調査結果、及び対応すべきIMO基準から、試作炉の基本設計を決定した。
(3) 試作炉による燃焼試験
下記3項目に分けて燃焼試験を実施した。また、本実験装置の概略系統図を【付図-1】に示す。
1] 廃油及びA重油による燃焼試験
廃油とA重油の2種類を準備し、各種性能確認試験を実施した。
計測項目は、定格運転時における燃焼室温度、昇温温度、燃焼室内圧力、排ガス温度、焼却炉外表面温度、排ガス組成とした。