2. 無段変速減速装置の実用化
東洋精密造機株式会社
企画部 土岐 進
1. 目的
従来の無段変速装置は、インバータなどを使用しており大形になると極めて高価となり、電波障害などにも問題を生じていた。
今回の開発のポイントは大形にも適用できる、小形で廉価な無段変速機能を持つ減速装置を開発することにあり、普通のインダクションモータを源動力とし、小容量のインバータモータを制御することによって、無段変速および起動時に0回転から任意にフル回転にすることも可能にし、かつ起動時のラッシュカレント(起動時のピーク電流)を減少させることも可能にするものである。
2. 実施内容
本研究試験はこの性能を実証確認できるものとして、最小モデルを試作し、各回転数に於いて伝動効率、パイロットモータの動力、メインモータのラッシュカレント等の詳細な計測を行い、その性能の実証確認を行ったものである。
2.1 試験機の設計および製作
図1に示す試験機を設計、製作した。一般的な遊星減速機(プラネタリ形)の内歯車を回転可能な構造とし、その内歯車にウォームホイールを取りつけ、そのウォームホイールに直角にウォームギヤを配したものである。
ウォームギヤは2.2kW、4Pのインバータモータにより駆動される構造となっている。
遊星歯車の減速比はプラネタリ形で1:11(スター型では1:10)、ウォーム部減速比は1:30、よって遊星歯車の低速軸を固定した状態で、インバータモータを3000rpmにすれば、遊星歯車高速軸は1000rpmで回転することになる。
2.2 試験設備の製作
図2に示す設備を製作した。
駆動用メインモータは11kW、6Pのインダクションモータを使用した。試験機の入力、出力にはトルクメータを設置し、試験機の効率が容易に計測できるようにした。
負荷は、パウダー式の電磁ブレーキ(水冷式)を使用した。