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開発途上国の運輸分野国際協力に関するセミナー

第5回(平成11年2月26日)

 

第一部

【男竹理事】 お待たせいたしました。時間が参りましたので、ただいまよりJTCAセミナーを始めさせていただきます。

本日は、JTCAの平成10年度開発途上国の運輸分野国際協力セミナー、第5回目でございまして、本日の講師は、外務省の経済協力の担当をされております有償資金協力課の首席事務官、それから開発協力課長のお二人をお招きして、それぞれ有償資金協力及び技術協力について、お話をお伺いすることになっております。

それでは、第1部の「経済構造改革支援のための特別円借款」、有償資金協力のうち、特に最近、これが問題になっております特別円借款につきまして、ご担当の塚田玉樹有償資金協力課首席事務官からお話をお伺いしたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

【塚田講師】 外務省の塚田でございます。本日は平成11年度の円借款の供与方針について話してほしいというふうに、最初、申し出があったんですけれども、こういう流動化する国内、国際情勢の中で、今後、どういう方針でやるのかという大上段の議論をするのはとてもできなくて、実際、柔軟かつ臨機応変にやっていきますというのが、多分、答えだと思うんです。それだと、ほとんど講演にならないので、ある程度、最近のトピカルな制度論、あるいは動きみたいなものを、テーマを絞ってお話しさせていただいたほうが、何かご参考になるかなと思いまして、若干、技術的な話も含めて、直接のビジネスと関係ない部分があるかもしれませんけれども、特別円借款の制度的な背景といいますか、あと、外務省、あるいは政府としての今後のタイド性借款をどういうふうに考えていくのか。あるいは、それをそもそもどういう認議でいるのかといったあたりの議論のご紹介をさせていただければと思っております。

お手元に、1枚紙の資料を配らせていただいておりますが、細かい話はもう既に皆さん、ご存じだと思いますし、ここで改めて繰り返すのも、若干、釈迦に説法だと思いますので、この資料の中で、特に疑問点というか、たびたび当方のほうにも照会が寄せられております二、三の点について、冒頭にちょっと補足説明をさせていただいた上で、先ほど申し上げた一般論というか、背景論みたいなものを続けてお話をさせていただければと思います。

まず、制度面の技術的な話なんですけれども、対象国でございますが、特別円借款の対象国につきましては、当面は経済危機の影響を受けているアジア諸国への支援を中心に実施していく考えでございます。アジア以外の円借款の供与対象国については、今後、具体的にケース・バイ・ケースで、要請が行われれば、随時、経済状況ですとか、あるいは失業率、そういったいろいろな指標を勘案しながら取り上げていくか否かというのを判断していきたいというふうに思っております。当面は、第1波は、年度当初ぐらいを目標に、目標のプレッジを目標に、ASEANの主要年次国あたりからいければなと。第2波、第3波ということで、特に年次のサイクルとは関係なく、場合によっては、その外縁の中央アジアとか南西アジア、南西アジアはイン・パケは今、ちょっと動かせる状況ではないんですけれども、そういった国々にも対象範囲を広げていければというふうに、当課の中では少なくとも考えております。

次に、事業規模でございますが、今後3年間で6,000億円を上限とするというふうに書いてございますが、一応、毎年、2,000億円のプレッジというのを目安として実施することになるんですけれども、特に国別に枠をつくるとかということは考えておりません。要請が行われた順に、順次、成熟度ですとか、あるいは緊急性を勘案しながら、供与を決定していくということを考えております。

また、1案件の金額的規模についてですけれども、特段の制限は設けておりません。1件1,000億円以上の大規模じゃなくちゃいけないのかとか、いろいろ照会があるんですけれども、そういった制限を設けずに、通常の円借款の供与と同様に判断を行っていくということにしております。

先ほど申し上げたように、本件円借款は、通常の年次の供与プロセス、あるいは供与額には影響を与えない特別分、オントップでやっていくということですので、特に年次供与国については、通常の年次のプロセスとは異なるタイミングで要請が出てきても、それは構いませんということを先方政府には伝えてあります。非年次についてももちろんそうです。

ただし、要請の時点においては、本件特別円借款でやるのか、あるいは通常の供与のプロセスでやるのかというのは、先方政府の中できちんと整理され

 

 

 

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