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ページに出ておりますけれども、投融資実行額ということで、97年度につきましては、6,496億円ということでございます。融資承諾額と実行額はえらく乖離があるなということをお思いになると思いますけれども、実際、そういうことでございまして、なぜそういう乖離が生じるかと申しますと、円借款というのは、基本的には、建設期間に非常に長期を要する、インフラを中心とするプロジェクトが主たる対象でございます。最近、やっぱり非常に社会開発型の案件が増えたり、複雑な案件が増えているということで、一見、プロジェクトの貸付実行に要する期間というのがどんどん長くなっています。今、大体基金で、融資承諾してから全部貸付集行するまで、平均すると7年かかります。そういった関係で融資承諾額と貸付実行額の乖離が生じているということでございます。

それからもう一つの要因は、基本的に国際競争入札で調達いたしますので、当初見込んだ予算よりも、かなり安く上がるという面がございます。大体、借款額も承諾額も2割は使いません。余ります。そういったことで、承諾額、実行額の乖離が生じているということでございます。

私どもの投融資残高でございますが、97年度末で、9兆円を少し超えました。それで、私どもの投融資残高は、国際的に見て大体どのくらいの規模になるのかというのをあらわすときに、よく我々が使う比較といたしましては、これも17ページに書いてありますけれども、いわゆる世銀、世界銀行のIBRDという商業条件の窓口とIDAという譲許的な窓口両方を合わせた融資残高の、OECFは大体半分でございます。要すれば、世銀の半分の規模の仕事をしているということです。それで、そのほかに国際的には、世銀のほかに、例えばアジア開発銀行とか、米州開発銀行とか、アフリカ開発銀行とか、最近は、欧州復興開発銀行というのがあります。そういう地域開発銀行というのがあるわけですね。これの融資残高を全部足したものが、大体OECFの融資残高に等しいということでございます。そういうぐらいの感じですから、国際的に見ると、世銀に次ぐ開発金融機関であるということになるのではないかなと思います。

ところが、世銀というのは、ご存じのとおり、大変なマンモス機関でして、繰り返し繰り返し人員削減をやっていますけれども、それでも今なお6,000人ぐらいおるわけですね。私どもOECFは、330人で、定員ベースですけれども、やっておりまして、効率的にやっているからだという自慢をしつつも、他方で、相当手を抜いているから何とかできるんだという面があるのも事実であります。(笑)

それでは、どういう分野に、円借款が供与されているのか。国とか地域は、20ページに円グラフが書いてありますので、これをごらんいただきたいんですけれども、これは、97年度1年間をとったものですので、大体最近の傾向をあらわしていると思います。ご察しのとおり、何といいましても、やっぱりアジアが大勢を占めておりまして、これは、アジアといいましても、中央アジアですね、周辺諸国をも含めますけれども、アジアが83%ということで、それに中南米が次ぐ。あとはアフリカ等がちょこちょこというあたりで、圧倒的にアジアに集中したオペレーションをやっています。

中南米が最近増えていますのは、中南米は、80年代は経済的に非常に状況が悪くて、いろいろ債務問題もありまして、円借款をなかなか供与できなかったんですけれども、80年代の危機を─失われた10年とよく呼ばれていますが、90年代になって克服しまして、最近、円借款を出せる状況になってきていますので、中南米は増えているということであります。

それから、分野別の承諾状況ですね。これにつきましては、まさに運輸セクターが一番多くて、31.4%を占めております。この運輸セクターの中には、私どもの定義では、道路を含みます。道路を含む運輸セクターが31.4%ということであります。

それから、電力が28.0%ということで、あとこれに灌漑・治水を足しましたあたりは、いわゆる経済インフラということで、伝統的に円借款の対象と言われている分野です。

そのほかに、最近は社会的サービスというものが増えています。97年度は16.5%ということで、その前の年より少し下がったんですけれども、96年度は20%を超えておりました。これは、いろいろ、教育とか保健、医療というような案件もたまにはありますが、主としては、やっぱり上下水ですね、こういう案件が最近増えていまして、そういったものを、我々は社会的サービスの中に分類していますので、この部門の比率が増えているということであります。

それから、環境円借款という言葉をよく言いますね。環境というのは、実は独立したセクターじゃないんですね。それぞれのいろいろなセクター、例えば電力セクターでも、環境保全を主たる目的としたものというのがありますし、それぞれこのセクターであるわけですね。そういった、セクターで見た場合の環境案件のシェアというのも最近相当増えておりまして、97年度の場合は、円借款全体の約2割が環境案件であるということであります。特に中国に対して、これは中国側、日本側双方の政策によるわけですけれども、環境案件を重視しております。それから、意外にインドでも植林等の環境案件が結構多いということがございます。

続きまして、円借款の供与条件につきまして、実は、97年度に非常に大きな動きがありましたので、皆さんご承知だと思いますけれども、それをご紹介したいと思います。これは、ページでいけば22ぺージに、囲み記事で「円借款金利改訂」ということで書いてございますので、そこをごらんいただきたいと思います。

 

 

 

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