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開発途上国の運輸分野国際協力に関するセミナー

第4回(平成10年12月15日)

 

第一部 「円借款の最近の動向について」 

 

【男竹理事】 時間がまいりましたので、これからセミナーを始めたいと思います。

本日は大変お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は、JTCAのセミナーは第4回目でございまして、第1部にOECFの橋本課長、第2部に運輸省の国際業務第二課の総括補佐官でおられます、もとヴィエトナム大使館に在勤されました、池田さんのお話をお伺いすることになっております。

それでは、早速始めたいと思います。第一部は、海外経済協力基金 開発企画部 開発企画課長の橋本さんでございます。どうぞよろしくお願いします。 

【橋本講師】 橋本でございます。本日はよろしくお願いいたします。

まず簡単に、私の自己紹介をさせていただきます。私は、OECFに入りましてから20年ちょっとになりますが、在外の経験としましては、ビルマ、ミャンマーに84年から86年まで2年半、これは大使館に出向という形で行っておりまして、その後、91年から92年までOECFのワシントン事務所で、世銀との調整、コーディネーションをやっておりました。本部におりましたときは、いわゆる円借款業務をやっている業務部では、主に、ミャンマー、それからバングラデシュ、スリランカ、パキスタンといったところ、南アジアを専門にやっておりまして、大体そういう地域を10年ぐらい歩いております。

最近は、この10月に、現在の開発企画課長のポストについたわけですが、その前2年間は総務部の業務課長ということで、OECFの政策立案をやっておりました。それで、現在は、開発企画部の開発企画課ということなんですけれども、ここは何をやっているかと申しますと、大きく言って2つやっております。1つは、皆さんご存じかどうかあれですが、私ども、SAPROF、案件形成促進調査費という基金、JICAさんとの関係で、技術協力と言っちゃいかんということになっておりますけれども、実質的に基金自身が行う技術協力ですね、その予算を持っております。SAPROFの予算が年間9億円ぐらいですけれども、これの実施が一つの仕事です。それから、きょう若干ご説明いたしますが、JICA(国際協力事業団)さんとの連携の窓口も、開発企画課がやることになっております。そういった仕事を現在やっているということでございます。

きょうは、運輸セクターにおける円借款というタイトルを与えられたんですけれども、ちょっと運輸セクタープロパーの話を、私はあんまりする資格も情報もありませんので、むしろ、最近の私の経験を生かしまして、最近の円借款の流れ、政策的な面ですね、それから、私の、今まさに就職しております基金自身が行う技術協力である、有償資金協力促進業務費といいますか、SAFと我々は呼んでおりますけれども、これの関係と、それからJICAとの連携、そういったあたりについて、実務的な説明をさせていただくということにしたいと思っております。

それで、資料を幾つか用意してありますけれども、主として、「OECF年次報告書1998」です。日本語版をお配りしてあると思うんですけれども、これを中心に説明させていただきたいと思います。

実は、手前みそでありますけれども、この年次報告書は非常にインフォーマティブでして、これは多分、皆さんの会社、あるいは団体さんにはお送りはしてあると思うんです。ただ、大概本棚にしまわれていて、中を読まれた方はあんまりいないと思いますが、実際は、実にインフォーマティブでございます。これは、日本でだけじゃなくて、DACという、OECDの開発援助委員会がありますけれども、ことし、そこが、対日援助審査ということで、我々の活動についても援助審査の対象になったんですが、これを1冊渡しまして、これを見れば全部書いてある、だから、審査する前にしっかり勉強してこいといって渡しましたところ、非常にこのレポートはよく書けているということで、お褒めをあずかったということもございます。ぜひきょうは、これにどんなことを書いてあるかを紹介しながら、説明をさせていただきたいと思います。

それではまず、円借款の業務の最近の推移、規模等を中心にご説明をしたいと思います。年次報告書の17ページを開いていただきたいと思います。ご承知のとおり、私ども海外経済協力基金(OECF)は、その業務の99%以上が円借款でございます。円借款はOECFの担当ということでございます。OECFイコール円借款と言っていいぐらいの感じでございますが、この円借款の1997年度の規模がどのくらいであったかと申しますと、いわゆるコミットメントですね、私どもは融資承諾、承諾と呼んでおりますけれども、これが1兆286億円ということでございました。前の年は1兆3,000億近くまでいきましたので、ちょっと減ったように見えますけれども、大体最近、ならして年間1兆円前後の─1兆円強と申し上げたほうがいいでしょうね、それぐらいの承諾規模でやっているということであります。

ただ、これは、要すれば、供与することを約束したと、借款契約という形で約束した金額ということでございまして、実際に資金が、ディスバースされた金額は、これとは異なります。それも、年次報告書の17

 

 

 

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