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そして、この海岸沿いのところに山脈がございます。あとはわりと平たい平地の国でございまして、例えば、この首都のプノンペンというところでございますけれど、海からこのメコン川を320キロぐらい上流に行ったところでございますけれども、標高が12メートルぐらいということですから、ずっと真っ平らなところでございます。ここにトンレサップ湖といいますけれど、東南アジア最大の淡水湖があります。丘陵地帯、山岳地帯がこういうふうにありますけれど、こういうところはずっと平地、ここら辺もずっと平地の国でございます。

地理的な位置はここでございまして、それでは少しテキストのほうに戻ってお話をしたいと思います。

テキストの1ページから、若干表が出てまいります。数字的なものをお話ししていきたいと思いますけれど、表1.1、戦後の歴史というのがございます。この国は、古くはアンコールワットをつくったように、大変栄えていた国なんでございますけれど、1853年にフランス領になりました。そして100年間のフランス領統治下から、1953年に現在の国王の努力によりまして独立することができました、1950年代、60年代は、シアヌーク殿下のもとでまあまあ平和な時代が続いたわけでございますけれど、ちょうどヴィエトナム戦争等、東西の冷戦のもとで非常に難しい政治的立場にありまして、そしてここに1970年にロン・ノル政権というのができまして、シアヌーク国王は亡命生活を余儀なくされ、これから国がずっと乱れていったわけでございます。1975年から79年、これがクメールルージュというポル・ポト派の支配がありました。100万とも数百万ともいわれておりますが、大変多くの人命が亡くなったというような時代であります。その後、社会主義国家としてずっときたわけでありますけれど、1993年に選挙の後、現在のシアヌーク国王のもとでのカンボディア王国というものができました。復興に向けて動き始めている。こういうようなものが現在に至る流れでございます。

それで、表1.2というのは、今、お話ししましたこの国は、大体面積は日本の半分ぐらい、18万平方キロでございますけれど、ほとんどが平地でございまして、そういう意味では非常に使いやすい国だろうと思います。

それから、表1.3というのがございますけれど、近隣諸国と社会経済状態というものを比較してみますと、人口は大体1,000万でございます。タイ、ヴィエトナムに比べて、7分の1とか、6分の1とか、そんなようなところでございますけれど、人口の増加率は非常に高い、3%近くになっています。

そして、平均寿命が53歳、これは世界の中でも非常に低い国の1つでございます。

それから、成人の識字率、これが非常に低い。タイ、ヴィエトナムなどに比べて非常に低いというような状況。

1人当たりのGDP、米ドル換算にしますと、現在いろいろ為替の問題がありますから動いておりますけれど、それでもタイより大体1けた少ない。ですから、人口が1けたぐらい少なくて、1人当たりの所得が1けた少ないというようなことを勘案しますと、経済力においては、大体タイの2けた低い、こんなような状況であるわけでございます。

人が住んでおりますのは、中央平野と呼ばれますメコン川に沿ったようなプノンペンを中心としたエリア、ここら辺は人が住んでおります。農業生産も活発でございますけれど、それ以外の地域は、非常に人口密度の少ない過疎地になっているところでございます。

それで、次の2ページでございますけれど、引き続きまして、もう少しマクロ的な状況についてお話を続けていきたいと思います。

表1.5というのがございますけれど、1990年、まだカンボディアが社会主義の国であったわけでありますが、大体このころ、1989年ごろから市場経済化を始めております。そのスタートぐらいの時期でございますけれど、1人当たりのGDPというのが130ドル、成長は1.2%ございますけれども、大変高いインフレであるというような状況がありました。そして、1997年、昨年でございますけれど、1人当たりのGDPが273ドル、成長率は2%、インフレは9.2%。こういう意味では、所得は低いんですけれど、経済のパフォーマンスとしては決して悪くないと思われます。

それから、外貨交換レートというのがそこにありますけれど、リエルという現地の通貨があるんですけれど、97年の3,000リエルが1ドルというようなことでございますので、国内はほとんど米ドルがそのまま流通しているという国でございます。

2000年の予測というのがございます。出典と書いであるところの中に、First Socio-economic Development Plan 1996-2000と書いてございますけれど、第1次社会経済5カ年計画というのをつくっておりまして、そこの予測値でございますけれど、GDPは倍ぐらいにしたい。成長率は7.5%を確保したい。インフレは5%ぐらいに抑えたい。外貨交換レートは計画をつくった程度のまま維持したい。

 

 

 

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