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国家予算規模の倍ほどの海外への負債の利払いは、エジプト経済の成長に対する負の要因であり、IMFと世界銀行からの指導のもとに、エジプトは結局価格統制を取りやめ、補助金を削減し、貿易と投資に対する制限を緩和させることを決めた。

観光はエジプトの経済については、最も有利なセクターの一つであるが、国内の暴力や地域の政策に影響を受けやすい。エジプトは、西部砂漠地帯での石油とガスの発見は、かなりの収入を生むであろうと希望的に考えている。

エジプトの経済は、官庁事務を含むサービス業が突出しており、その規模はGDPの半分にも達する。他の重要なセクターはスエズ運河と農業である。農業は輸出の14%を占め、主として綿、ジャガイモ、米を輸出している。石油とガスはGDPの10%に達し、輸出の40%を占める。

最近の失業率は政府発表では9%に達している。厳格な労働法、相対的に高い関税、そして高い個人への課税等が現在のエジプトの特徴でもある。最近の政府の方針は、主要なエネルギーへの補助金廃止、4つの主要な銀行の民営化、標準最高税率を40%とすることである。

 

2.3 スエズ運河の概要

 

地中海と紅海を結ぶ運河を建設するというアイデアは、古代エジプト人が2つの海をナイル川とその枝川を繋ぐことを考えた4000年前にもさかのぼる。世界的な貿易に貢献する、世界で最初の人間の手で掘削された運河へと導いたのは、まさにそのような非常に古い時代のアイデアであり、現時点で最も大きな東と西側諸国を結ぶ運河である。スエズ運河は海水面と同一の運河であり、潮位差は南北で少し異なり、ポートサイドでは50cmであり、紅海側では2mである。スエズ運河の概要を表2.3.1に示す。

 

表2.3.1 スエズ運河の規模の推移

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