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それから、その密度の高い液体を使っておりますから、この外側のいわゆる吐圧と言いますか、そういう地層の圧力を抑える効果があります。それともう1つ大切な事は、現在、この掘っている付近の地質がどんなものかと言う、切り屑が泥水と共に船上に上ってまいりますから、その地質の様子を知りながら掘削するという利点を持っている訳でございます。

 

(FIG-4)

こう言う事につきまして海洋科学技術センターでは、技術的に海洋での深海掘削に持ち込むには、どういう問題を解決させなければ行けないか、と言う事をほぼ10年に亘って研究してまいった訳であります。その結果は、1996年に横浜で、ODPの方々、OIL Industryの方々、勿論、これを使いたいと言う科学者の方々に集まって頂いて、Riser Drillingの技術についてのWorkshopを開きました。その結果、この考え方で最終目標4000m付近、つまり平均の海の深さで、そういう掘削が可能であろうと言う統一見解に立った訳でございます。

 

(FIG-5)

そうしますと、従来ODPなどを通して研究を進めて来た方々を含めて、今の制約を外すとどういう所で、どういう研究をし、地球システムというものを正確に理解できるようになるかという課題について議論を致しました。その時の条件は、今申し上げたライザー掘削の特徴、これが生かされる研究課題という事で、既に、ソロモン先生あるいは、今の平先生が、既にご指摘のような、やはり、一番大きな関心はこの地球環境変動がこの地球の上で一体どういう風に、それが引き起こされ、どう変化して来たのか、と言う事をより正確に調べて行きたい。これには非常に堆積速度の速い、しかも充分な過去の堆積を持って居るような所、という事が必要な訳ですが、その為にはこの一層の掘削が、充分出来て、より深く、という事が大切な訳であります。それから、さらにこの地殻変動モデルで、これも既に地震との関連を紹介されました様に、直に地震が起きるような所の、その観測、しかも掘った孔の単にモノを採るための孔ではなくその後の観測網を構築することに拠って多くの変動のモニタリングを可能にすると言う事であります。

 

それから、この地球環境の変動そのものにも大きく影響を与えて参りました、このマントルに付きまして、このマントルにつきましては、ソロモン先生のお話にも有りますように、まだ実際にモノを採って見た事がないという訳でございます。そう言う事からしますと、より深くという事に拠りまして正に夢であります。昔、モホール計画と言われたモノの、最も望まれる研究が、より実現に近くなる。そう言うマントル物質が、もし採られたとしますと、それに拠りまして物理的、化学的性質が明らかにされる訳でありますが、それに拠りまして、今後、どういう事が起こるかというそのダイナミクスに関する研究も大きく進むはずで、それから、この地殻生命の問題はお二人の先生が既にお話になりましたし、今日午後の特別講演で詳しくパークス先生からお話がある。

 

それからもう1つ、割と最近、非常に注目を浴びておりますガスハイドレート、メタンハイドレート、これにつきましては多くの解説その他がありますように、地球環境変動との関連、それから一種の地殻変動、地滑り的な現象、地震に拠らない大きな変動、それから、もう1つは、勿論、我々が必要とするエネルギー資源としての活用、そういう観点から、その研究の必要性が言われておりますが、これも或る意味では、天然ガス、石油の場合と同じように、もし、ハイドレート層に、勿論掘りたい訳でございますが、その際に噴出防止装置、泥水(でいすい)の効果が大きなメリットを私達に与えて呉れるはずであります。そう言った様なことを、簡単なマンガに致しますと、この様に上からパイプを降ろして掘って行く訳ですが、今目指しておりますライザー掘削が、一番こちらの端でございますが、その過去の変動の歴史その他、微生物との関係、上の堆積物から順番に、あるいは、その下の基盤と言う所までに多く研究課題が有る訳でありますが、それと同時に、今申し上げたメタンハイドレートなどとも、こう言った層の中、それから、さらに下に入ったところで、巨大地震の、いわゆるSeismogenic Zoneに達する訳でありますが、ここでは勿論、その後の掘削した後のモニタリングという事が非常に重要な課題となります。それから勿論、一番深い所が念願のマントルに到達すると言う、こう言う計画が出来上がる訳でございます。

 

 

 

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