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深海地球ドリリング計画が目指すもの

 

海洋科学技術センター理事

堀田宏

 

(講演者紹介)

海洋科学技術センター理事、堀田 宏から、「深海地球ドリリング計画が目指すもの」と、題して講演をお願いいたします。

 

(講演者)

ご紹介有り難うございます。

海洋科学技術センターの堀田でございます。

 

(FIG-1)

プログラムにあります様に、これから21世紀に向けていよいよスタートを切ろうとしております、この「深海地球ドリリング計画」Ocean Drilling in the 21st Centuryにつきまして説明申し上げたいと思います。さて、英語の題名の方は非常に簡潔ですが、日本語の「深海地球」これは、初めてお聞きになる方は何を考えて居るのかなと思われるかも知れません。今、両先生からお話がありました様に、地球というのは、そもそも、全部が海で覆われた天体の時期を過ごして、それから大陸が生まれたと言うHistoryを持っていると言う事がだんだん判って来ている訳で、そう言う意味で、「海地球」と言う考え方も出て来る訳ですが、その海と言うのは、実は、非常に大陸を薄く覆っているというモノではなくて、ご存知の様に、平均水深約4000mと言う深い海な訳です。そう言う意味でこの深海を通して地球の本質に迫り、地球システムと言うものを理解しようと言う意味を込めて「深海地球」と読んでいる訳で、それを今、お二方の先生が色々ご説明下さいましたように、深い部分に謎を探ると同時に過去の地球環境が保存されている厚い堆積物について、さらに研究を進めて行きたいと言う趣旨でございます。

 

(FIG-2)

既にOcean Drilling Program(ODP)と言う事が、アメリカの主導の下でスタート致しまして既にそれは国際的な協力研究と言う事になっているのはご存知の通りでございますが、そこで、その現在のOcean Drilling Programでは、この絵でご覧頂きます様に、一本のパイプを回転させて、それで、海底下の情報を採ると言う事で進めている訳であります。そう致しますと、ご覧頂きます様にこの海水を循環させて掘っている訳ですが、もし1つの現在の制約と言うのは、石油とか、天然ガスと言うものが含まれた地域ですと、そう言う層に当たりますと一気に噴出し非常に危険な状態になります。それから、もし、非常に脆い地層と言うような所でこの孔壁が、いわゆる裸掘りでありますから、崩れて来てそれ以上に深く掘ることが難しいと言う制約があります。

 

主としてこの2つの制約で、多くの希望が有りながら現在まで掘削が行われていない大切な地域が残されております。そこで、そう言う制約を乗り越えるためにはどの様なことが必要であるか?と言う事になる訳でありますが。世の中ではご存知の様に石油、天然ガス、これはインダストリーとして、どんどん掘られている訳ですが、ですから、その技術をこういう科学目的の掘削に持ち込んで今、申し上げた制約という限界を超えるという事にすると良いのではないか? というのが、このライザー掘削を私どもが提案している最も大きな理由でございます。

 

(FIG-3)

今の、ODPとどういう風に違うかと言うと、一言で申し上げますと、外側にライザーパイプと言うものが有り、船と海底の間を繋いでおります。その海底の所に、今申し上げた天然ガスとか石油とかいう層にぶち当たったときに、この噴出防止装置というもので閉じる訳で、上まで吹き上がらない、こう言う手段のために現在は2重のパイプの中に泥水(でいすい)という、粘性を持ちなお且つ比重の大きな液体を循環させると言うことで、先ずその掘って行く孔壁をこの泥水で押さえる事ができる。

 

 

 

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