日本財団 図書館



11.Empresas dos SANTOS
 同社は、パラグアイで海運関連の事業を一手に仕切っている会社である。
 同社は、1958年に設立され、59年にはノルウェーとアルゼンチンの海運会社と提携して、北欧向けの定期便(SCNSA Line)を就航させた。また、New YorkとAsuncionを結ぶダイレクト便も南米で初めて就航させた。
 また、Johnsosn Line, Royal Mail Line, Greek South America Lineなど主要なラインのパラグアイでのエージェントとなっている。
 さらには、Del Bene S.A.、 Tranliq S.A.、 Vilasy y Cia S.A., Y.P.E.、Lunmar Naviera S.A.,Naviera del Litoral S.A.などのアルゼンチンの海運エージェントにもなっている。  73年にはコンテナ・ビジネスにも着手し、現在ではパラグアイのコンテナ輸送は主に、この会社を通じて行われている。

(3)造船事情
 パラグアイには、従来から造船政策を実施する行政機関はなく、造船政策は海運政策の一環として行われてきた。
 パラグアイ国立商船隊(F.E.M.)は、パラグアイ最大の海運会社であったため、F.E.M.からの船舶建造の動向が、パラグアイ造船業の進路に大きな影響を与えてきた。
 パラグアイの造船政策は、実質的にはF.M.E.の意向により決定されてきたと言える。
 F.E.M.民営後は、「中小事業に対する投資を促進する法律」に基づき、船舶部品の輸入関税の免税およびパラグアイで建造された船舶を輸入するものに対しての融資制度がある程度であり、今後もパラグアイ政府が自国造船業に対する直接的な保護政策や育成政策を実施することは余り期待できない。
 パラグアイの船舶建造能力は、同国最大規模の造船会社ACPが年間10隻ほどのバージを建造している程度である。
 その他の零細規模の造船所でも、かなりの数の小型船舶の建造または改造も行われている模様である。
 造船業の総従業員数はわずか数百人といわれている。
 パラグアイの船舶建造能力は、他の国と比べて低いが、国内でのバージの利用頻度が高い関係から、バージ建造のノウハウが蓄積され、その評価は高いものがある。
 パラグアイの水運輸送量自体は、元来、河川輸送・内水路輸送が主流であり、市場の大きさにも限度があるため、今後も大きく飛躍的に伸びることは余り期待できない。
 このため、メルコスール域内およびイドロビーア水域での海運・水運の活発な発展に期待が寄せられている。

パラグアイにおける主な造船所とその概要は、次の通りである。

1.Astillero Chaco Paraguayo S.A.(ACP)
(所在地) ASuncion, Paraguay
 同社は、1989年に電気機械工事専門のConsorcio de Ingenieria Electromecanica,S.A.に買収され、現在は同社の経営下にある。
 ACP社は、パラグアイでは最も高い造船技術レベルをもった造船所である。
 パラグアイ河岸に位置し、1,000〜2,000トンの穀物運搬船および一般貨物、原油・食用油を運ぶタンカーなど様々なタイプのバージを建造している。
 最大長さ60m、幅15m、高さ4mのバージの建造能力を有しており、また、バージおよび河川航路船舶の修繕を行っている。
 1997年には、アメリカの海運会社が1,350トンのミシシッピー・タイプのバージを10隻発注している。
 1,350トンのバージの建造費は約40万ドルであり、アメリカでの建造費の約50%である。
 なお、同社の建造能力は年間バージ10隻程度である。

2.Arsenal de la Marina
(設 備)
 浮ドック  長さ106m×幅18m(浮揚能力:2,000トン)
 ドライ・ドック  2基 各長さ85m×幅24m
 同社は、パラグアイ軍隊の管轄下にあり、4,000トン級の船舶の修繕および小型船の建造などを行っている。

3.Varadero de Asuncion S.A.
 同社は、F.M.E一分割民営化後に造船会社として独立された会社である。
 現在のところ、未だ買い取り手がついていない状況であり、また、パラグアイ政府としては同社の株式を保有することなど検討もしていない状況である。

(4)漁業事情
 パラグアイは、海を持たない内陸国であり特記すべきものはない。
内陸漁業による漁獲量の推移は、次の通りである。
 

 

前ページ    目次へ    次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION