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(1) 一般事情
 ウルグアイ東方共和国は、南米大陸の東南岸に位置し、北はブラジルと、西はアルゼンチンと、それぞれ国境を接し、南は大西洋に面している。
 ウルグアイは、ブラジル南部とアルゼンチンのパンパ平原との中間地帯にあるため、地形は一般に緩やかな平地をなしているが、国内の各地になだらかな丘陵がある。
 また、気候は年間を通じて温暖であり、冬季(6〜8月)でも平均14〜16℃と温暖であり、夏季(12〜2月)は平均21〜28℃で比較的涼しく、雨季(3〜5月)も雨が少なくさわやかである。
 国土面積は、177,414?2(日本の0.47倍)であり、人口は約320万人(96年)で、首都モンテビデオは約138万人である。
 言語は、スペイン語が公用語である。
 住民は、スペイン系やイタリア系の白人種が多く、全人口の約90%を占めている。
 また、住民の約83%が都市人口であり、全ラテンアメリカでは都市人口率が最も高く、この国の社会構造上最大の特色となっている。
 ウルグアイは、1985年に軍政から民政に復帰し、非民主的法制の改廃など民主主義の回復・定着、市場開放政策を進め、90年には「経済安定とインフレ抑制の方策としての財政均衡達成」をビジョンに掲げて、経済の再活性化に努めた。
 その結果、現在ではウルグアイ国史上民主体制下における最も安定した政権と評価されている。
 一方、外交では南米の大国アルゼンチン、ブラジルの両国に挟まれた緩衝国家としての立場を踏まえた堅実全方位外交を展開、中南米の主導的発言国としても活躍している。
 国際場裡においても、UNTAC(国連カンボディア暫定機構)などに要員を派遣する等、数多くのPKOに積極的に参加し、86年ガット・ウルグアイ・ラウンドの発足などにも貢献している。
 最近は、伝統的欧米指向型価値観の中での経済関係を軸にした対アジア(特に日本、中国)接近外交に意欲的である。
 また、95年1月に発足したメルコスール(南米共同市場)の設立に貢献し、同共同体事務局をモンテビデオに設置している。
 ウルグアイの経済は、70年代に発展を遂げたが(73〜80年の年平均成長率4.0%)、軍事政権後期の82年以降は一次産品の下落による経済停滞等により、3年続きのマイナス成長となつた。
 85年には民政移管となり、輸出拡大、財政赤字縮小、インフレ抑制等の政策による経済活性化の成果により、86年7.5%、87年5.9%の高度成長を達成した。
 しかしながら、88年以降実質賃金の落込み等から消費が冷え込み88年0.2%、89年0.56%、90年0.9%、91年3.2%と低成長を記録している。
 92年には、輸入規制の緩和、輸入税率の引下げ、観光収入増等で一時的に景気が好転し7.9%の成長を達成したが、93年には伝統産品の輸出不振、民間消費の冷え込み等により再び3.3%に成長減となった。
 94年には、財政赤字覚悟で実施した公共投資の拡大により景気は上向き、6.9%の高成長となった。
 95年に発足した新政権は、社会構造の改革とインフレ抑制を目指し、95年経済成長はマイナス2.8%となったが、96年にはメルコスールの進展と相まって5.0%の成長を達成し、97年上半期も引続き6.7%の高成長を継続している。
 また、97年の物価上昇率も20%を割り30年来の記録となっている。
 世銀の推定によれば、1996年の国民総生産(GNP)は、1994〜96年の平均価格で計算すると184億6,400万ドル、1人当りでは5,760ドルに相当する。
 90〜96年の1人当りの実質GNPは、年平均3.8%の割合で増加し、この間の人口は年平均0.6%の割合で増加している。
 また、80〜90年の実質国内総生産(GDP)は年平均0.4%、90〜96年では年平均3.7%の増加を記録している。
 実質GDPは95年が2.4%の減少、96年、97年がそれぞれ4.9%、6.0%の増加を記録している。
 農業部門(牧・林・漁業を含む)は、96年GDPの9.7%を寄与し、労働人口の13.6%がこの部門に従事している。
 主要農産物は、米、砂糖きび、大麦、小麦、ポテト、ソルガム、とうもろこし等である。
 家畜、特に羊および牛の飼育は、ウルグアイの伝統的に重要な経済活動である。
 生息動物、動物製品、皮革類は、1996年の輸出総額の37.8%を占めている。
 1980〜90年の期間における農業部門のGDPは0.1%、90〜96年の期間では4.4%の年平均成長率を記録している。
 ウルグアイ経済は、牧畜業に依存する国であり、特に羊毛、肉類、皮革および小麦の輸出に依存するところが大きい。
 農牧地約4,100万ヘクタールのうち、90%が牧場で、残りの10%が耕地として農作に使用されている。
 この広大な牧場に、約1,070万頭の牛と2,000万頭の羊が飼育されている。
 工業部門(鉱業・製造業・建設業および電力業を含む)は、1996年GDPの25・3%を寄与し、労働人口の25.4%がこの部門に従事している。
 世銀の推定によれば、工業部門のGDPは1980〜90年の期間は年平均0.2%の減少、1990〜96年の期間は0.4%の増加を記録している。
 鉱業は96年GDPの0.2%を寄与し、労働人口の0.2%がこの部門に従事している。
 ウルグァイは、鉱物資源に乏しくマンガン、鉄、鉛、銅などの鉱床が僅かにある程度である。
 製造業は、畜産加工業から発達し、最近では国内消費用の繊維、化学などの軽工業もみられるが、大きな発展はしていない。
 製造業は、96年GDPの17.3%を寄与し、労働人口の18.3%がこの部門に従事している。
 製造業の主なものは、食品加工、繊維・織物・石油精製、皮革類、飲料、化学品、その他軽工業などである。
 世銀の指定によれば、製造業のGDPは1980〜90年の期間に年平均0.4%の増加をしているが、90〜96年の期間は1.0%の減少となっている。
 ウルグアイのエネルギー源は、主として水力発電および鉱物性燃料に依存しており、燃料製品は95年輸入総額の9.5%を占めている。
 観光事業は、ウルグアイにとって有力な外貨収入源であり、1994年には6億3,200万ドル(商品輸出総額の33%に相当)の外貨を獲得している。

 

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