(4)漁業事情
アルゼンチン海域の大陸棚は、赤道を起源とするブラジル暖流と南極洋を起源とするマルビナス寒流が合流し、水産資源が豊富である。
また、南パタゴニア地方の沖合は、世界で最後に残された水産資源の宝庫といわれ、アンチョビー、メルルーサ、タラ、サケなどが豊富に水揚げされている。
しかし、アルゼンチンの漁業は漁船の不足、漁港規模・地上加工設備の不十分、操業率の悪さに加え、国民一人当りの年間魚類消費量は6kg以下であり、国内市場が狭く、また国際的に魚価が低下しており、操業コストに見合う輸出価格が維持できない等の理由により、漁獲量および輸出量とも低迷状態にあった。
このため、アルゼンチン政府は、同国領海内における漁業開発を推進し、自国経済の発展に寄与させるため「海洋生物資源の開発に対する国際入札に関する法律」を制定し、外国資本の参加、近代的かつ効果的な漁業技術の導入並びに海洋資源の開発を図っている。
同法に従って、既に日本からも日本水産(株)がアルゼンチン海域に進出している。
これらにより、アルゼンチンの漁業は、近年漁獲量、輸出額とも順調な伸びをみせている。
1995年の漁獲量は114万9,000トン、輸出額は9億1,758万ドルである。
捕獲魚の種類は、約半分がメルルーサ(タラの一種)であり、鮮魚または冷凍魚として国内で消費されている。
アルゼンチン最大の漁港は、マル・デル・プラタ港であり、アルゼンチン漁船の70%以上が同港を漁業基地としている。
アルゼンチンの漁業は、トロール漁業が主力であるが、現在稼働中の漁船総数は10トン以上のものが約600隻である。
1997年12月末現在の漁船(100G/T以上の鋼造漁船)保有量は、420隻、231,533G/T(平均船齢21年)であり、年々順調に増強されている。
前ページ 目次へ 次ページ
|
|