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(1)一般事情
 リベリア共和国は、西はシェラ・レオーネ、東はコートジボアール、北はギニアと、それぞれ国境を接し、南は大西洋に面した約350マイルにおよぶ海岸線がある。
 国土面積は、111,370?2(日本の3分の1)、人口は281万人(96年央)で、首都をモンロビア(人口421,100人)におく。
 人種はゴラ族、クペレ族、クル族、サバ族など16部族からなり、言語は公用語である英語のほか、各部族語が使用されている。
 宗教は、国民の90%が原始宗教で、残りがキリスト教とイスラム教である。
 リベリアは、19世紀初頭にアメリカから解放された奴隷の移住地として発展し、1847年にアフリカ最初の共和国として独立している。
 政治の腐敗、経済の悪化、部族対立等を主因として、89年に反乱軍による武装蜂起で始まった内戦は7年余り続いてきたが、95年8月に成立したアブジャ合意に基づく和平プロセスは、97年の大統領選挙で一応完了している。
 今後は、新政権の下で国家の再建・復興が推進されることになる。
 一方、外交面では、内線以前は非同盟中立の立場をとりつつ、伝統的な親米関係を機軸として西側寄りの穏健な外交路線とともに、近隣諸国との関係強化に努めている。
 リベリア経済は、鉄鉱石を主とする鉱業部門と、労働人口の約70%を占める農林業によって支えられている。
 世銀の推定によれば、1987年の国民総生産(GNP)は10億5,100万ドル、1人当りGNPは450ドルである。
 1980〜87年の期間のGNPは、年率2.1%の割合で減少し、1人当りでは年率5.2%の割合で減少している。
 なお、85〜94年の期間の人口は、年率3.2%の割合で増加している。
 国連の推定によれば、1984〜86年の国内総生産(GDP)は、年率1.6%の割合で減少し、87〜89年では年率2.8%の割合で増加し、90〜92年では年率12.3%の割合で減少している。
 なお、EIUの推定によれば、リビアの名目GDPは、93、94、95、96年はそれぞれ9,000、13,500、14,850、19,700百万ドルとなっている。
 GDPの産業別構成(86年)は、農業が30.3%、鉱業18.8%、工業13.0%、建設業5.1%、サービス業32.7%となっている。
 農業(林・漁業を含む)は、89年GDPの36.7%を寄与し、労働人口の約70%がこの部門に従事している。
 主な換金作物は、ゴム(89年輸出総額の約26%を占める)、コーヒー、ココアである。
 主要食糧としては、米、カサバ、芋類、バナナなどを栽培している。
 96年の米の生産高は、約94,450トン(95年は56,200トン)であったが内乱以前の88年の生産高の約32%に過ぎない。
 また、96年のカサバの生産高は約213,260トンであったが、これも88年生産高の52%である。
 97年における穀物輸入は50,000トンに計画されたが、その他に約116,000トンの穀物の援助が必要とされている。
 政府は、食料の自給自足を図るため、穀物の増産に多額の投資を行っているが、余り成果はあがっていない。
 生ゴムは、リベリアにとって、鉱産、木材と共に重要な輸出商品となっており、94年輸出収入の5%を占めている。
 リベリアは森林資源が豊富で、木材は94年輸出総額の約10%を占めている。
 牧畜は、家畜飼育が牛3.6万頭、羊21万頭、山羊22万頭、豚12万頭と推定され、毛織物、皮革産業、食肉産業など関連工業の発展に寄与している。
 国連FAOによれば、農業生産高は1985〜89年の期間、年率1.4%の割合で増加したが、89〜95年の期間では年率9.6%の割合で減少しており、96年は余り変化がない。
 工業部門(鉱業、製造業、建設業および電力を含む)は、89年GDPの23.3%を寄与し、労働人口の約7.8%がこの部門に従事している。
 1985〜89年の期間のGDPは、80〜85年の年率4.7%増に対し、0.3%の増しかない。
 鉱業は、89年GDPの10.9%を寄与し、労働人口の5.1%がこの部門に従事している。
 最も重要な鉱物輸出は鉄鉱(89年輸出収入の51%)である。
 また、金およびダイヤモンドも同じく重要な外貨獲得源である。
 しかし、内戦の影響を受けて、90年以降は鉱産物の生産および輸出は、激しく打撃を蒙っている。
 製造業は、89年GDPの7.3%を寄与し、労働人口の1.2%がこの部門に従事している。
 84年製造業の生産額のうち、主要なものは清涼飲料(全体の44.5%)、鉱産物、化学品、タバコなどである。
 85〜89年の期間のGDPは、80〜85年の期間の年率0.2%増に対し、3.2%増を記録している。

 

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