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(1)一般事情
 マダガスカル共和国は、アフリカ大陸東岸のモザンビークの約500?東方の西インド洋上に位置し、国土面積は、587,041k?(日本の1.6倍)で、グリーンランド、ニューギニア、ボルネオに次ぐ世界第4位の大きな島である。
 人口は、1,535万人(96年央)で、首都をアンタナナリボ(人口347,500人)におく。
 人種は、黒人系、マレーシア系から成り、部族はメリナ、ベチミサラカなど18に及ぶ言語は、マダガスカル語とフランス語が公用語であるが、ホバ語(マダガスカル特有の土着民語)およびその他の方言も一般に使用されている。
 宗教は、キリスト教徒58%、原始宗教徒37%、イスラム教徒5%である。
 気候は、熱帯性であるが、奥地は比較的涼しい。  沿岸地方の平均最高気温は32℃であるが、首都アンタナナリボでは最低8℃、最高27℃である。
 北部地方は12月から4月にかけて熱帯モンスーン気候の雨期であるが、その他の地方は乾燥している。
 マダガスカルは、1960年にフランスより独立した共和制国家である。
 人道的・環境保護国家を目指しており、外交ではフランスとの関係に力点をおくと共に、国際協調を重視する全方位外交、非同盟との善隣友好を基本方針としている。
 近年は、特に西側諸国との関係強化を図る一方、冷戦構造崩壊、民主的第3共和制確立後、旧東側諸国との関係を次第に縮小している。
 また、93年にはイスラエル、韓国、南アフリカとの外交関係も再開している。
 マダガスカルの経済は、1996、97年に世銀、IMFとの間で経済政策大綱の正式署名もおわり、融資が決定しており、マクロ的にはかなり安定している。
 今後は、民営化・投資の促進等が課題となっている。  世銀の推定によれば、1993〜95年の国民総生産(GNP)は、年平均31億7,800万ドル、1人当りGNPは230ドルであり、また85〜95年の期間の1人当りGNPは、年率2.0%の割合で減少している。
 なお、この間の人口は年率3.1%の割合で増加している。
 国内総生産(GDP)は、1985〜95年の期間、年率1.1%の割合で増加しており、95年の実質GDP成長率は2.0%を記録している。
 GDPに対する産業別構成は、95年は農業部門(林・漁業を含む)33.6%、鉱・工業部門13.6%、サービス部門52.8%であり、96年はそれぞれ39.1%、13.3%、47.5%となっている。
 マダガスカル経済の基本は農業であり、労働人口の76.3%がこの部門に従事している。
 また、農業部門の輸出は全輸出額の約78%を占めている。
 なお、世銀の推定によれば、85〜95年の期間の同部門は年率2.3%の割合で増加し、95年の成長率は2.7%増となっている。
 耕地の約50%で米を生産しており、米輸出国であったが、72年以来、米は輸入に依存している。
 94年は153,700トンもの米を輸入している。
 最も重要な換金作物はコーヒー、バニラであり、94年は輸出総額のそれぞれ24.2%、17.2%を占めている。
 コーヒーは、かつて輸出総額の50%を占めていたが、老木のため年々生産高は減少傾向にある。
 バニラとチョウジの世界的生産国であり、94年輸出額の19.5%と2.3%を占め、両方で約20%を占めている。
 その他の作物としては、砂糖、バナナ、ココナツ、果物、綿花などがある。家畜の飼育も牛、豚、羊など盛んである。
 また、林業は各種の貴重な木材に富み、ゴム、樹脂、皮なめし、染料、医薬品、その他工業用などの目的に使用されている。
 工業部門(鉱業・製造業、建設業、電力を含む)は、GDPの約13.5%を寄与し、労働人口の約6%がこの部門に従事している。
 世銀の推定によれば、1985〜95年の期間にこの部門のGDPは、年率0.6%の割合で増加しており、95年の成長率は、1.6%を記録している。
 鉱業は、クローム鉱をはじめ黒鉛、雲母、石英、鉄鉱石など各種の地下資源があるが、僅かにクローム鉱、黒鉛および雲母が商業ベースで開発されているに過ぎない。
 最近、南東マダガスカルでチタニウム鉱、ボーキサイト(埋蔵量1億トン)の開発も計画されている。
 また、石油、天然ガスの試掘も1990年代はじめに始めている。
 製造業は、91年GDPの11.6%を寄与している。
 トアマシア精油所は、67年以来、輸入原油を精製し輸出に大きく貢献している。
 このほか、主な製造部門としては織物、食品加工、飲料、化学製品などがある。  1990年の新投資法の導入および多数の食品加工品目の創設は、外国の民間投資に成功し、特に、織物、セメント、製薬、肥料の部門が発展した。
 火力発電(輸入原油は94年輸入総額の7.4%)、水力発電も発展している。
 マダガスカルは、96年に世銀・IMFとの間で経済政策大綱の正式署名をし、それぞれの融資が決定している。
 今後は、民営化の促進と相まって、この融資に依り、経済の発展が期待されている。

 

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