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(1)一般事情
 シェラ・レオーネ共和国は、1787年以来、奴隷船から解放されたアフリカ人の収容地として、土着の酋長達によって使用されていたが、1896年8月21日に英国の保護領となった。
 その後、1961年4月27日にイギリス連邦内の自治国として独立し、次いで1971年4月19日にシェラ・レオーネ共和国となった。
 このため、シェラ・レオーネは、宗主国の英国とは現在でも経済、貿易の面で密接な関係にある。
 シェラ・レオーネは、北部および東部はギニア共和国、東南部はリベリア共和国と国境を接し、西南部は大西洋に面した341k?におよぶ海岸線がある。
 国土面積は、71,740k?(日本の約0.2倍)、人口は約440万人(96年央)で、首都をフリータウン(人口469,800人)におく。
 人口のうち、約30,000人はシェラ・レオーネ原住民以外のアフリカ人、約3,500人がアジア人、約2,000人が欧州人である。
 宗教は、国民の大多数が原始宗教信奉者(アニミスト)であり、この他に少数の回教徒およびカトリック教徒がいる。
 言語は、英語が公用語であるが、クリオ語、メンデ語、リンバ語、テムネ語など各種の土着民語も日常使用されている。
 気候は熱帯性で、雨季と乾季に分かれ、年間を通じて非常に高温(年間平均27℃)である。
 雨季は概ね4月から11月まで続き、湿度が極めて高い。4月から6月および9月と10月は、雷雨の季節である。
 首都フリータウンは、1月の平均気温が26.7℃、7月が25.6℃で、年間降水量は3,434?であり、雨量が特に多い。シェラ・レオーネは、1992年以来内乱が続き政情は不安定である。
 外交は、非同盟主義、各国の主権尊重、全友好国との関係に重点をおき、また国連などの支持を明らかにするなど、自主的多角外交を展開している。
 シェラ・レオーネの経済は、主要な輸出品(一次産品)の国際市況の低迷および国内の密輸の横行等が原因となり、経済・財政とも引続き困難な状態にある。
 政府は、86年6月より世銀・IMF支援の経済構造調整政策を策定し、経済再建への努力を開始したが、同政策、世銀・IMFとの合意を履行できず、87年に挫折している。
 89年、更に深刻化し窮状にあった経済を復興するため、世銀・IMFとの協議を再開し、厳しい緊縮の下で経済構造の調整に努力している。
 シェラ・レオーネ経済は、従来、ココヤシと油ヤシに依存していたが、最近は金紅石(1994年は輸出総額の約48%)、ダイヤモンド(同22.2%)、ボーキサイト(同14.3%)に変わり、鉱産国に転換してきている。
 EIUレポートによると、1995年のシェラ・レオーネの国内総生産(GDP)は、7,103億8,900万レオーネで、実質成長率はマイナス3.6%となっている。
 また、1993〜95年の平均成長率はマイナス3.47%で、マイナス成長が続いている。
 94年GDPの内訳は、農業部門(林業、漁業を含む)49%、工業部門21%、サービス業30%となっている。
 また、部門別就業人口の全労働人口に占める割合は、それぞれ61.8%、16.9%、21.3%となっている。
 農業部門は、GDPの49%(94年)を寄与しており、主要換金農産物としては、コーヒー(94年輸出総額の2.3%)、およびカカオ豆(同2.5%)であり、シェラ・レオーネにとって重要な輸出作物となっている。
 このほか、カサバ、米などが重要な主食品として生産されている。
 ヤシ油、落花生、砂糖きび、果物、野菜などもシェラ・レオーネ経済にとって、重要な地位を占めている。
 また、牛、羊、山羊、家禽類も重要な家畜である。
 家畜は、北部地方が特に盛んであり、食肉、皮革など関連工業も発達している。
 林業および漁業の開発が期待されているが、政府は水産物の増産を図り、国内の食料自給と外貨獲得源とするため努力している。
 工業部門(鉱業、製造業、建設業および電力事業を含む)は、GDPの21%(94年)を寄与し、全労働人口の約17%が、この部門に従事している。
 1985〜95年の期間に、工業部門のGDPは年平均5.6%の割合で増加した。(ただし、94年は2.1%、95年は19.5%の減少となっている。)
 鉱業および採石業は、1994年のGDPの17.5%を寄与している。
 輸出向け主要鉱産物は、金紅石(94年輸出収入総額の47.8%)、ダイヤモンド(同22.2%)、ボーキサイト(同14.3%)および金である。
 鉄鉱石は、かつては重要な鉱物輸出品であったが、低利潤と労働不安のため1985年3月以降生産は中止されていたが、1992年に鉄鉱山の再開が計画されている。
 製造業は、1994年にGDPの5%を寄与している。
 1985〜95年の期間に、製造業のGDPは年平均4.6%の割合で増加している。
 しかし、95年は9.9%の減少となっている。
 製造業の分野は、主としてヤシ油、織物などの製造業、その他農林業の加工業から成っている。
 シェラ・レオーネのエネルギー源は、主として石油を燃料とした火力発電に依存している。
 しかし、燃料輸入への支出経費の軽減を図るため、政府の水力発電開発計画(1998年末完成予定)が、推進されている。
1994年の輸入総額の3.7%が、鉱物性燃料で占められている。

 

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