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(1)一般事情
 ケニア共和国は、アフリカ大陸東岸の中部に位置し、北東部はソマリア共和国、北部はエチオピア連邦民主共和国およびスーダン共和国、西部はウガンダ共和国、南部はタンザニア連合共和国とそれぞれ国境を接している。
 国土面積は、580,367k?(日本の約1.54倍)、人口は3,052万人(95年年央)で、首都をナイロビ(人口:116万人)におく。
 言語は、スワヒリ語が公用語であるが、英語、キクユ語、ルオ語なども広く一般に使用されている。
 宗教は、住民の大部分が伝統的原始宗教の信徒であり、その他キリスト教徒(約25%)、回教徒(約6%)などがいる。
 気候は、沿岸地方は高温多湿で年間平均気温20℃〜32℃、内陸の標高1,500m以上の高原地方では平均7℃〜27℃である。
 北部地方は全般に熱帯乾燥気候であるが、西部および高原地方は降水量に恵まれている。
 ケニアの内政は、1963年の独立以来、自由市場経済体制と親西側外交を二大支柱とし、内政面では部族間のバランスを配慮し、アフリカの中にあって例外的に着実な経済社会発展を遂げている。
 現政権の強権的姿勢に対し、内外から批判が高まり、90年以降民主化運動が活発化している。
 援助国からの圧力もあり、91年には複数政党制が導入されている。
 外交では、非同盟外交を標榜しているが、英国をはじめ西側諸国との関係は緊密である。
 ケニアは、東アフリカにおける重要な安定勢力であり、周辺国より多数の難民を受け入れてきているほか、ソマリア、スーダン等域内の和平交渉等に積極的に関与している。
 また、タンザニア、ウガンダとの東アフリカ三国の協力関係を推進している。
 さらに、南アフリカとの経済交流にも積極的に取組んでいる。
 ギニアの経済は、1985年以降天候に恵まれ、農業生産は好調を持続し、また、観光収入の増大もあって、年平均5%の成長を維持してきたが、ドナー各国が政治経済改革の進捗が十分でないとの理由で、91年11月以降93年半ぱまで財政支援型援助が停止したため、外貨不足等経済状況の悪化が深刻化した。
 96年3月に発足したケニア、ウガンダ、タンザニア3カ国の、東アフリカ共同体(EAC)は通貨の互換性や各国間の規制撤廃が図られ、97年には共通パスポートの発行など具体的成果を挙げつつある。
 経済的には既に域内取引が活発化しており、また南アフリカ共和国からの大型投資も続いている。
 国内経済は、93年以来の自由化政策により好調に推移し、実質GDP成長率は94年が2.6%、95年が4.4%、96年が4.1%となっている。
 ただし、96年末から97年終盤にかけての干ばつや97年10月の豪雨により、主要輸出品のコーヒー、紅茶、メイズ、小麦が大きな被害を受け、97年の実質GDP成長率は3.6%と予想されている。
 GDPの産業別構成(96年)は、農林水産業24.4%、鉱・工業15.9%、サービス業46.5%となっている。
 ケニア経済の発展は、専ら農業部門の生産・加工に依存している。
 農業部門(林業・漁業を含む)は、GDP(96年)の約25%を占め、輸出の70%を占めている。
 ケニアは、労働人口の75%が小規模農業に従事しており、賃金労働者の20〜30%も農業部門が占めている。
 輸出に対する寄与の観点からは、1996年輸出総額のうち、紅茶が20%、コーヒー14.5%、野菜・果物7.9%、切り花3.6%などとなっている。
 農業部門は、80年代には、平均年率で3.5%の成長をしていたが、これは、農地の拡大、農業生産性の向上および高価格農作物への生産の転換などによるものである。
 90年代に入って干ばつの影響で、マイナス成長となり、91年-1.1%、92年-3.7%、93年-4.1%を記録したが、94年には、良好な降雨、コーヒー価格の世界的堅調などに恵まれ、2.8%となった。
 急激な人口増加に対し、食料増産はケニアにとって緊急の課題となっている。
 主食のメイズについては、高収量品種の開発が比較的進んでおり、今後は土地生産性の向上および低生産地での収量拡大などが課題となっているが、豊作であればほぼ自給自足が可能な状況になっている。
 小麦については、国内自給が達成されず、輸入が恒常的となっている。
 米についても自給が達成されておらず、消費量10万トンに対し、約60%が国内生産である。
 砂糖については、国内生産量約30万トンに対し、輸入量約27万トン(94年)と、年々国内生産量が減少するのにつれて、輸入量が拡大している。
 牧畜業は、欧州人が使用していた高原の大規模農場がケニア人に譲渡され、食肉、酪農品、羊毛、皮革産業などの関連工業も着実な発展を遂げている。
 林業では、西部の熱帯雨林は森林資源が豊富である。
 国内市場は狭いので、主として丸太または材木で輸出している。
 鉱業では、ケニアの最も重要な鉱業資源はソーダ灰である。
 その他の鉱産物としては、塩、螢石、金、石灰石などがある。
 1981〜85年に大規模な地質調査が行われ、キナゴニに200万トンの鉛と銀の鉱石埋蔵が発見されており、また、ケリオ渓谷の螢石埋蔵の開発に伴い、ケニア鉱業の将来に期待が寄せられている。
 ケニアの96年における原油輸入は、270億ケニア・シリングに達している。
 このため、政府は外国石油会社と提携して原油の探査活動を続けている。
 また、電力の国内自給を図るため、現在、多数の水力および地熱発電計画を実施中である。
 工業は、農産物加工業を中心とし、これに次いで化学品、繊維、履物などの製造業が順調な伸びを示している。
 重工業としては、タイヤ製造、トラック組立などが主なものである。
 これら産業のほかに、観光産業は輸出総額の22%にも達する重要な外貨獲得源であり、農業部門と並ぶものである。

 

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