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(1)一般事情
 ギニア共和国は、アフリカ大陸の西岸に位置し、南部はシェラ・レオーネ共和国およびリベリア共和国・北部はセネガル共和国およびギニアビサオ共和国、東部はマリ共和国およびコートジボアール共和国と、それぞれ国境を接している。
 国土面積は、245,857k?(日本の約0.65倍)、人口は752万人(96年)で、首都をコナクリ(人口197,300人)におく。
 人種は、フラニ族が最も多く全人口の40.3%を占め、次いでマリンケ族25.8%、スースー族11%、キッシ一族6.5%、クペール族4.8%、その他ディアロンカ族、ロマ族などとなっている。
 言語は、フランス語が公用語であるが、各種族はスース一語、マニカ語、その他の言語を日常使用している。
 宗教は、住民の大多数が回教徒であり、このほか少数のカトリック教徒、原始宗教信奉者(アニミスト)がいる。
 気候は、沿岸地方は高温多湿の熱帯気候であるが、高原地方は比較的やや涼しい。
 雨季は沿岸地方では5月から11月まで続くが、内陸地方は10月で終わる。
 首都コナクリの気温は、1月が平均26.7℃、7月が平均25℃で、年間降水量は4,300?である。
 ギニア共和は、1958年にフランスから独立している。
 その後、1984年のクーデターにより樹立された現政権は、従来路線を大きく改め、IMF、世銀等の国際機関の支援を得て旧社会主義体制から自由主義体制への移行を推進中である。
 しかし、民主制の基盤は必ずしも安定しておらず、96年2月給料値上げを求める軍の示唆行動がクーデター未遂にまで進展した。
 外交面では、独立以後フランスと訣別し、近隣アフリカ諸国とはぎくしゃくした関係となり、東側寄り非同盟路線を採用していたが、70年代後半より西側寄りに変わり、現政権下では西寄り非同盟を採用し、特にフランスとの関係は緊密になっており、東側寄りから西側寄りへの緩やかな軌道修正を行っている。
 ギニアの経済は、世界の3分の1のボーキサイトを埋蔵するなど、地下資源に恵まれているにも係らず、前政権下では社会主義的諸政策のため、経済は停滞してきた。
 その後、現政権が転換を図った自由主義路線が効を奏し、経済は活発化している。
 現在、IMF、世銀との協調の下、大胆な経済構造調整計画を実施中であり、成果を挙げている。
 しかし、その一方ではインフレの昇進などの余波も生じている。
 そのほか、経済の基幹である農業の振興を図るため、農産品、特に米の自給自足体制の実現を目指し努力している。
 EIUレポートによると、1996年におけるギニアの国内総生産(GDP)は、40億ドルであり、93年の約32億ドルから年々4.0〜4.5%の成長率を記録している。
 この間の人口は、年平均約7.2%の増加となっている。
 1995年のGDPに占める産業別構成では、農水業23.9%、鉱業18.7%、工業11.7%となっている。
 農業部門(林業および漁業を含む)は、鉱業部門と共に、ギニアにとって最も重要な産業である。
 GDPの23.5%(95年)を占め、全労働人口の71%(94年)がこの部門に従事している。
 主要換金農産物は、果物、油ヤシ、落花生、コーヒーなどであるが、この他に重要な主食用の農作物として、カサバ、米、穀類、野菜などがある。
 ギニアは、かつては穀物の輸出国であったが、最近では大量の穀物を輸入に依存している。
 穀物の輸入は、1984年には約64,000トンであったが、1993年には約335,000トンに及ぶ大量の穀物を輸入で賄っている。
 このため、政府は基礎食糧の自給達成に重点をおき、広大な未開発地域の開発を外国からの援助により行い、主要農作物の増産に努力している。
 ギニアの牧畜業は、牛、羊、山羊などのほか、皮革産業、食肉産業など関連産業の発展にも努めている。
 また、牛およびその他の家畜を飼育することによって、食料の補給に大きな効果をあげている。
 ギニアには、かなりの森林資源があり、特に西部の熱帯雨林は森林資源が豊富である。
 森林の開発は、植民地時代早くから始まっているが、政府は森林資源の商業生産能力の拡大に努めている。
 また、近年は原木の輸出を規制し、現地加工による付加価値を高めた丸太、挽材として輸出に向けている。
 1988〜94年の期間に、農業部門(畜産、林業、漁業を含む)は、年平均4.3%の割合で増加している。95年は5.4%。
 工業部門(鉱業、製造業、建設業および電力事業を含む)は、1995年にGDPの30.4%を占め、全就業労働人口の僅かに2%がこの部門に従事している。
 1995年の工業部門のGDPは、3.8%の増加となっている。
 ギニアの鉱業は、GDPの19.7%(1994年)を占めているが、就業労働人口の僅か0.7%がこの部門に従事しているに過ぎない。
 鉱業は、ギニアにとって最も重要な外貨獲得源である。
 ギニアは、高品質のボーキサイトの大規模な埋蔵が発見されており、全世界埋蔵量の約4分の1と推定されている。
 現在、ギニアは世界第1のボーキサイト輸出国であり、ボーキサイト鉱石では世界第2の大生産国となっている。
 ボーキサイトおよびアルミナの輸出は、1994年には全輸出収入の59.9%(93年は65%)を占めている。
 ギニアにおけるボーキサイトの生産高は、1970年代の260万トンから、1996年には1,839万トンと大きく増加している。
 しかし、アルミニウムの世界需要の減退により、ギニアのボーキサイト生産は1981年は1,280万トン、1982年は1,180万トンと年毎に低下したが、1983年に回復基調となり1,300万トンに達し、以後順調に増加が続いている。
 ギニアのボーキサイトは、ボケ、フリア・キンボおよびキンジア・デルベの3鉱山で採掘され、フリギア・アルミ工場でアルミナに加工される。
 アルミナの生産は、1970年代の50万トン台から、1980年には70.8万トンに増大したが、世界アルミニウム市場の低迷により、ギニアのアルミ生産は1982年には57.8万トンに低下した。
 その後、やや回復し、1988年58.9万トン、1993年65.6万トンと増加傾向にある。
 現在、ギニアのアルミナの大部分は、西アフリカ・カメルーン共和国の精錬所でアルミニウムに加工されている。
 ギニアでは、高品質のダイヤモンドおよび金も採掘されている。
 ダイヤモンドの生産は、1970年代の末期に中止されたが、1980年に政府が多国籍会社の投資を認可し、その生産が再開されている。
 さらに、1984年には、ギニア東南部地方のアレードル・ダイヤモンド鉱山で生産が開始され、年間生産高は15万〜20万カラットとなった。
 その後、生産高は90年12.7万カラット、91年9.7万カラット、92年9.5カラットと減少傾向にある。
 金の採掘は1988年に開始され、ダイヤモンドと共に重要な外貨獲得源となっている。
 1994年のダイヤモンド、金の輸出額は、輸出総額の約20%を占めている。
 鉄鉱石については、ニンバ鉱山には推定15億トンの高品質鉄鉱石の埋蔵が発見されており、ギニア政府との合弁企業による開発計画により、年間1,500万トンの採掘が予定されていた。
 この投資計画には、鉄鉱石輸出のため1,200?に及ぶ鉄道建設、首都コナクリの近辺に製鉄所および深水港の建設が予定されていたが、世界鉄鋼市況の低迷により、この計画は変更され、ニンバ鉱床から鉄鉱石は隣接国リベリアの鉄道を経由して輸送され、リベリアのブカナン港から輸出されることになった。
 しかし、リベリア国内の内乱、政情不安などに妨げられ、リベリアとの国境沿いのニンバ鉄鉱床を中心とする大規模な鉄鉱石埋蔵地帯の開発計画は実施に至っていない。
 このほか、ギニアにはウラニウム、コバルト、プラチナ、ニッケル、花崗岩などの有望埋蔵も発見されている。
 海底油田の深査活動も、1990年代初期から引続き行われている。
 ギニアの製造業は、1994年にGDPの4.7%を占め、就業労働者の僅か0.6%がこの部門に従事している。
 ギニアの主要製造業は、アルミナ精錬、その他農産物加工、建築資材製造など、輸入代替に関連のある分野である。
 1988〜94年の期間、製造業のGDPは年平均4.2%の割合で増加しており、1994年の増加は5.6%となっている。
 ギニアは、水力発電資源が比較的豊富であり、電力エネルギーに対する鉱工業、製造業部門からの需要は大きい。
 水力発電ダムの建設には、海外の融資機関から援助を受けている。
 ギニアは、年間約60万トンの石油および石油製品を輸入しており、燃料およびエネルギーの輸入額は、輸入総額の11.9%(95年)を占めている。

 

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