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(4)漁業事情
 アルジェリアは地中海に沿って約1,000?の海岸線をもち、大西洋からの潮流によって水産資源に恵まれてはいるが、漁業開発は遅れている。
 アルジェリアの漁業は、いわし、アンチョビー、にしん、まぐろ、えび、かに等で、その水揚げは91年の8万トンから95年の10.6万トンに徐々に増加はしているが、その規模は小さく、輸出に回されず、ほとんどは国内消費となっている。
 捕獲魚の処理・加工はアルジェ、コンスタンチーヌ、オランなど各地方に缶詰工場、アンチョビー塩漬工場などがあり、主としてマグロ、イワシなどの缶詰を生産している。
 アルジェリアの漁業は漁船の老朽化、漁業資材・冷凍工場・冷凍関連設備の不足、漁業技術の未熟、複雑な流通機構などによる漁業への投資意欲の減退など改善すべき多くの問題点を抱えている。
 このため、政府は79年に漁業公団(Enterprise National des Peches-ENAPECHES)を設立し、漁業の生産、販売、魚類の輸入などの業務を行っている。さらに、民間漁業奨励のため、漁業訓練センターの設置、漁業協同組合の創設、冷凍施設の増強、流通機構の改善などにより漁業の振興発展に努めている。
 一方、漁業開発公社(Agence Nati?ale Pour le Development des Peches,ANDP)としては、2005年までに234,000トン(うち、沿岸漁業による漁獲は169,000トン)の漁獲を目標としており、これらは輸出よりも自給率の改善に重点がおかれる模様である。
 アルジェリア政府は、漁業開発のために海外とのジョイントベンチャーの促進を図っており、その一環として1992年にジゼル港をベースにしたイタリアとのジョインベンチャー漁業会社“CALIAP"が1992年に設立され、漁船の拡充計画がたてられ、イタリアの“ORTONA-NAVI社"に長さ26.5mの漁船8隻、42.5m3隻を3,330万ドルで発注した。
 また、1993年にはロシアのYouyou-I kein社とモロッコのSopho社とのジョイントベンチャー漁業会社が設立されている。
 なお、1996年にアルジェリア独立以来はじめてのアルジェリア領海での外国漁船によるツナ漁の許可が出された。
 対象国は日本で、20隻の日本漁船が9,750万ディナールの入漁料を払って、750,000トンの漁獲許可を得ている。
 これは、1994年に改定されたアルジェリア商法の初の適用と言うことになる。
 その他の外国漁船の漁獲許可も期待されている。

 アルジェリアの漁船保有量は、1996年末現在、100G/T以上の鋼造漁船が23隻、2,831G/Tであり、その平均船齢は23年である。
 アルジェリアは大小合わせて約1,800隻の漁船を保有しているといわれているが、その多くは木造の老齢船であるため修理を必要とする場合が多く、実際に操業している漁船は少ない。

 

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