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 これらの政策とは別に、海事振興委員会がタイ造船業発展のための計画を組み込んだ海事マスタープランを策定中である。プランは方向性、開拓予定市場、戦略、タイ造船業のレベル向上、近代化のための方策と行動計画を示すものとなるだろう。一方、各政府機関と民間部門の間の協力も強化されていることは、技能開発局と海軍工廠局が共同で計画した造船所人員の職業訓練プログラムの成功からもうかがえる。今後、政府と民間部門との協力が継続して効果的に行なわれるとともに、海事マスタープランとその関連政策が実行されることにより、タイ造船業は景気後退の最悪の状況を乗り切り、近い将来には新たな市場を開拓することになるだろう。

 

? 結論

 現在、タイ造船業は海外市場での大型外航船需要に応えるため、造船施設を高度化すべき決定的な転換期に直面している。短期的には、大手造船所における外国人コンサルタント・専門家による技術移転や、あらゆるレベルの造船所要員の訓練によって、タイ造船業は、目下の景気後退もしのいで行くことができる。さらに、タイ・バーツ安によって外国船主向けの修繕船工事価格が割安になっていることから、タイ国内造船所の修繕船工事受注増加が見込まれる。
 しかし、長期的にみればタイ造船業が国際市場で確固たる地位を築くにはさらに一層の発展が求められる。必要なのは技術的ノウハウ、企業経営、良質で安価な資機材の安定した供給源、量質共に十分な造船労働力、そして政府による強力な支援である。タイ造船業の重要性を認識して、政府は造船業の有効な発展のための政策を打ち出した。要約すると以下のようなものである。

(a)既存造船所の拡充および新規造船所建設のための投資促進により、新造船・修繕船能力の増大を図る。

(b)大型船修繕市場を拡大し、国内外の顧客に対する修繕業のマーケティングを推進する。

(c)技術開発および人的資源の開発を奨励、促進する。

(d)国内造船所の競争力向上に資するような優遇税制を導入する 。

 

 

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