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(3)柱の位置
 柱や基礎の大きさは、搭載クレーン荷重が大きければ地震時による外力が決め手になり、クレーン荷重が小さければ台風による外力が決め手となる。
またドックの渠壁と、隣接する既設構造物との間隔や形状は、カバードドック建家の基礎の大きさに制約を与え、柱のピッチなどは計算によるシュミ レーションをしながら決定しなければならない。基礎を小さく押さえる場合は基礎に転倒が生じるので、その防止策として基礎にアースアンカーを施す ことも考えられるが、支持地盤の状態に問題はないかの確認、また施工したアンカーのテンション状態をどの様に維持管理するかの検討課題が出てくる

(4)外装材
 海辺という立地条件から、屋根材や外壁材には耐食性、耐久性を考慮してメンテナンスフリーとしたい。しかし屋根、壁の面積が広いのでコストの問 題があり、せめて屋根だけでも20年位の耐久性があるものとしたい。

(5)建具
 扉は搬入物の大きさと搬入頻度を考慮して計画する。生産工程上もっとも効率のよい動線上の位置に計画するが、既設のドックを利用する場合は、周 辺の設備装置などから理想の配置はむずかしい。また大型ブロックの搬入部は、扉が大きく重量も重くなるため開閉速度が遅くなる。一般資材の搬入頻 度が多い場合は別の搬入ルートを確保するか、搬入ルートがなくその扉を兼ねる場合は扉の構造を工夫が要求される。
 ドックの出渠ゲート部は、扉を支える下の部分を開放出来る構造にしなければならない。扉は下記のような特別な構造になる。
(i)ドックゲートにレールを敷いて扉を支える方法
(ii)軽量な素材を用いた膜を巻き上げる方法
(iii)開放のままとする方法

(6)室内プラン
 必要とする室は設計室、打合せ室、作業員詰所、湯沸室、便所、倉庫、工具室、電気室、などがあげられる。これらの部屋は建物の中央付近の位置にある方が便利でり、隣地に余裕があれば下屋を設けて必要な部屋を設ける方 が好ましいが、なかなか敷地を確保することはできない場合が多い。したがって建物中央付近にまとめて配置することはむずかしいが、工具・資材など は、各柱幅の帯のなかで作業性を考慮し分類分けで配置したほうが効率的であり、作業員の休憩室なども、小さいスペースであるが作業場に近い位置に 適宜設ける計画も考えられる。



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