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III 廃棄物の排出と処理・管理

 船舶からの廃棄物の海洋への排出については、昭和63年12月31日にMARPOL73/78条約附属書Vの発行に伴い、わが国においても船内に発生する廃棄物の排出規制、特に日常系の廃棄物の排出規制が強化されました。
この規制の遵守を確保するため、国際海事機関(IMO)は、「MARPOL73/78条約附属書Vの実施のための指針」を作成しました。
さらに、附属書Vが改正され、船舶の大きさや最大搭載人員、航行区域により、廃棄物の排出規制の内容を乗組員や乗客等に周知するための掲示、廃棄物汚染防止規程の策定及び廃棄物処理記録簿の備え付けと維持が義務づけられました。
これらに基づき、わが国の規制を取り入れた廃棄物の排出と合理的な処理・管理方法をまとめてみました。

1 廃棄物量を最少に抑える措置

(1) 生活系廃棄物量の低減方法
 (1) 食料などの消耗品を一括包装することで、廃棄物の発生量を減らすことができます。
 (2) 使い捨ての食器などの使用に代えて、再利用できるものを使用するようにします。

(2) 運航関連廃棄物の低減方法
 (1) 使い捨てのプラスチック・シートを長期間繰り返し使用できるカバーにします。
 (2) カバー、ダンネージ、ライニング及び包装材の再利用を検討します。
 (3) 海洋での処分が必要となるような運航関連廃棄物は、荷役終了時に陸上受入施設に陸揚げします。

(3) 貨物残留物の低減方法
 貨物残留物は、荷役作業中貨物の脱落防止に注意を払うことにより低減することができます。脱落した貨物は、予定の貨物区画に収納するか、あるいは陸上の廃棄物受入施設に引き渡すようにします。

2 船内廃棄物の処理と保管方法

 船内の乗組員などによる日常系廃棄物の排出については、政令で定められた排出手続きに従って行わなければなりません。当該廃棄物の排出手続きの概要を次頁に示します。廃棄物の排出規制を遵守するためには、その内容を乗組員や乗客等に周知するため船内の見やすい場所に掲示することが望まれ、全長12メートル以上の船舶にはこれが義務づけられています。
 船内廃棄物の処理と管理に対する最適な方法は、船の種類や大きさ、就航海域、船内廃棄物処理装置及び保管スペース、乗組員数、航海期間、並びに寄港先での規則及び受入施設の有無といった要因により左右されます。
適切な処理と保管によって必要な船内スペースを最小限にし、また保管した廃棄物の陸上受入施設への引き渡しを容易にすることができます。

(1) 総合的な廃棄物管理計画
 船内で発生した廃棄物の取り扱いに関する手続は、4つの段階、すなわち、収集(分別)、処理、保管及び処分に分けることができます。船内で発生した廃棄物の取り扱いと保管を効率的に行うためには、4つの各段階における手続きと責任者をあらかじめ決めておくことが大切です。
 総トン数400トン以上の船舶及び最大搭載人員が15人以上である船舶では、廃棄物の取り扱い方法等を定めた「船舶発生廃棄物汚染防止規程」を策定の上、備え付けることが義務づけられています。

 

 

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