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(3) 危険物が排出された場合の措置
危険物が排出された場合の措置として、通報義務、応急措置義務及び注意喚起措置義務が定められている。

(1) 通報義務(法42の2-(1)、(2))
 次の者は、危険物が排出(海域の大気中に流すことを含む。)され、海上火災が発生するおそれがあるときは、最寄りの海上保安庁の事務所に通報しなければならない。
 ・危険物を排出した船舶の船長又は施設の管理者
 ・危険物の排出の原因となる行為をした者
 さらに、排出された危険物により海上火災が発生するおそれがある事態を発見した人も同様の通報義務がある。

(2) 応急措置義務及び注意喚起措置義務(法42の2-(3))
 (1)の者は、損壊箇所の修理、排出された危険物の薬剤等による処理等引き続き危険物の排出の防止及び排出された危険物の火災発生の防止のための応急措置をとるとともに、汽笛・サイレンの吹鳴、電信・電話等の手段による警報の発信等危険物の排出の現場付近にある人・船舶に対し注意を喚起する措置をとらなければならない。

(4) 海上火災が発生した場合の措置
海上火災が発生した場合の措置として、通報義務、応急措置義務及び注意喚起措置義務が定められている。

(1) 通報義務(法42の3-(1)及び法42の4)
 ばら積みの危険物を積載している船舶、海洋危険物管理施設又は危険物の海上火災が発生したときは、海上火災が発生した日時及び場所、海上火災の状況等を次の者は、最寄りの海上保安庁の事務所に通報しなければならない。
 ・海上火災が発生した船舶の船長又は海洋危険物管理施設の管理者
 ・海上火災が発生した危険物が積載されていた船舶の船長又は管理されていた施設の管理者
 ・海上火災の原因となる行為をした者さらに、海上火災を発見した人も同様の通報義務がある。

(2) 応急措置義務及び注意喚起措置義務(法42の3一(2))
 (1)の者は、放水  ・消火薬剤の散布、付近にある可燃物の除去等消火・延焼の防止又は人命の救助のための応急措置をとるとともに、汽笛・サイレンの吹鳴、電信・電話等の手段による警報の発信等海上火災の現場付近にある人・船舶に対し注意を喚起するための措置をとらなければならない。

(5) 海上保安庁長官の危険物の排出があった場合等における権限

(1) 緊急の場合における行為の制限(法42の5-(1)〜(3))
 海上保安庁長官は、海域において、危険物の排出があった場合又は火災が発生した場合は、現場の海域において、火気の使用の制限若しくは禁止又は船舶の進入の中止若しくは人の出入の禁止等を命ずることができる。

(2) 海上火災が発生した船舶の処分等(法42の6)
 海上保安庁長官は、消火、延焼の防止又は人命の救助のため、海上火災が発生し、又は発生しようとしている船舶等の、また、延焼の防止のため、延焼のおそれのある船舶等の使用、処分等ができる。

(3) 火災船舶に対する曳航命令(法42の7)
 海上保安庁長官は、船舶交通の危険を防止するため、火災が発生した船舶を新たに船舶交通の障害等の生ずるおそれのない海域に曳航すべきことを命ずることができる。

(4) 航行の制限等(法42の8)
 海上保安庁長官は、危険物等の排出又は海上火災により生じた船舶交通の危険を防止するため、危険物等の排出の現場の周辺の海域を航行する船舶の航行を制限し又は禁止することができる。
 法第6章の主な規定の関係を図示すれば115〜118頁のとおりである。

 

 

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