日本財団 図書館


(10) 同手引書に定められた事項の周知義務(法40の2一(3))
 (8)の者は、同手引書に定められた事項を、当該施設の従業員及び当該従業員以外の当該施設において油の取扱いに関する作業を行うものに周知させなければならない。

(11) 海上保安庁長官の措置及び費用負担(法41)
 海上保安庁長官は、大量の特定油の排出に対して、措置を講じなければならない者がその措置を講じないとき又は講じても不十分な場合に、自らこれらの排出特定油の防除のためにオイルフェンスの展張、油処理剤の散布等必要な措置を講じたときは、当該措置に要した費用を排出された特定油が積載されていた船舶の船舶所有者又は排出された特定油が管理されていた海洋施設等の設置者に負担させることができる。ただし、当該排出の原因が次のものである場合はこの限りではない。
 ・異常な天災地変
 ・社会的動乱
 ・もっぱら第三者が大量の特定油を排出させることを意図して行った作為又は不作為

(12) 海上保安庁長官の防除現場海域からの退去命令等(法39の2) 
 海上保安庁長官は、緊急に排出特定油の防除のための措置を講ずる必要があるときは、防除措置を講ずる現場の海域にある船舶に対し退去を命じ若しくは現場海域に進入してくる船舶に進入の中止を命じ又は船舶の航行を制限することができる。

(13) 財産の処分(法42)
 大量の特定油の排出により海洋が著しく汚染され、その汚染が広範囲の沿岸海域において次に掲げるような重大事態となる場合において、緊急にこれらの障害を防止するため排出特定油の防除措置を講ずる必要があると認めるときには、海上保安庁長官は、必要かつやむを得ない限度で船舶を破壊し、排出された特定油を焼却し、現場付近にある第三者の財産を処分することができる。
 ・海洋環境の保全に著しい障害を及ぼすこと
 ・人の健康を害すること
 ・財産に重大な損害を与えること
 ・事業活動を困難にすること
 ・上記の状況が生じるおそれがあること

(2) 特定油以外の油、有害液体物質、廃棄物等が排出された場合の措置
(1) 通報義務(法38)

イ. 特定油以外の油(濃度1,000ppm以上、油分100リットル以上のもの)の排出に係る通報義務については、(1)(1)の特定油と同様の通報義務がある。
ロ. 船舶から次に掲げる量以上の有害液体物質等又は容器入り有害物質の排出があった場合又は海難によりそのような排出のおそれがある場合には、当該船舶の船長は、当該排出(海難)があった日時及び場所、排出(海難)の状況、海洋の汚染の防止のために講じた措置(講じようとする措置)その他の事項を直ちに最寄りの海上保安機関(我が国の周辺海域では海上保安庁の事務所)に通報しなければならない。
 ・有害液体物質
     A類物質等1リットル以上
     B〃10リットル以上
     C〃100リットル以上
     D〃1,000リットル以上
 ・未査定液体物質1リットル以上
 ・容器入り有害物質内容量1キログラム以上
 ただし、これらの通報は、排出された物質が広範囲(1万平方メートル以上)に広がるおそれのないときは、必要がない。
 有害液体物質等又は容器入り有害物質の排出のあった、又は排出のおそれのある船舶の船舶所有者その他当該船舶の運航に関し権限を有する者は、海上保安機関からこれらの物質の排出又は海難による海洋の汚染を防止するために必要な情報の提供を求められたときは、できる限り、これに応じなければならない。

(2) 措置命令(法40)
 海洋に排出された特定油以外の油、有害液体物質、廃棄物その他の物により海洋が汚染され、しかもその汚染が海洋環境の保全に著しい障害を及ぼし、又は及ぼすおそれがあり、緊急にその汚染を防止する必要があるときは、海上保安庁長官は、その特定油以外の油、有害液体物質、廃棄物等を排出した者に対し、必要な措置を命じることができる。

(3) 海上保安庁長官の措置及び費用負担(法41)
 海上保安庁長官は(2)の命令を受けた者が必要な措置を講じないときは、又は講じていても不十分な場合に、自ら必要な措置を講じたときは、その措置に要した費用をその命令を受けた者に対し負担させることができる。

(4) 油濁防止緊急措置手引書の作成、備置き等義務、海上保安庁長官の同手引書の作成、備置き等命令、同手引書に定められた事項の周知義務(法40の2)
 特定油以外の油の排出に係る同手引書の作成、備置き義務等については、(1)(8)〜(10)の特定油と同様の同手引書の作成、備置き義務等がある。

 

 

前ページ    目次へ    次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION