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調査の要約

 

1.アンケート調査用紙の回収について

 

(1)今回のアンケート調査用紙による実態調査は太鼓界にとって初めての試みであり、その回収が、心配されたが結果的には45.4%と予測以上の高い回収率であった。この要因として考えられるのは、景気の下降による地方自治体の浮揚策の一つとして、村おこし、町おこし等地域の活性化策や「神事・祭礼」などで昔から人々に親しまれている伝統ある太鼓をいかに存続、継承していくかを探るため、協力度が高くなったと思われる。

 

(2)アンケート調査用紙の都道府県別回収総数を財団法人日本太鼓連盟に支部として加盟している29道府県(北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、群馬、埼玉、千葉、神奈川、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、三重、京都、島根、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島)と加盟していない18都府県を比較すると、前者は送付件数2,210に対し回収件数1,059でその回収率は47.9%である。一方、後者は送付件数1,179に対し回収件数は477で回収率は40.5%である。この差は一概に断定できないが、支部のある地域にあっては普段から太鼓演奏を通じて地方自治体と協調関係が保たれていたり、地方自治体の関係者が郷土の伝統芸能である太鼓を継承、保存していくため支部の活動に協力していること等が考えられる。

 

2.今後の課題について

 

(1)全国の地方自治体の約7割が太鼓を使用した行事・お祭り、地域文化の保存・振興、生徒・学生の学校教育、成人を対象にした生涯教育、観光の振興等何らか形で太鼓と関わりを持っている。この事実は他の芸能文化や和楽器の世界では考えられない。今後、さらに地方自治体との関わりを高めて日本太鼓の伝統伝承並びに普及・振興を図り、日本文化の発展に寄与していくためには、当財団及び太鼓関係者に明確な方向性と施策が求められる。当面、加盟支部にあっては組織の充実、地域における積極的な演奏会の開催や自治体主催の諸行事に対する協力等が挙げられる。また、未加盟支部に対しては、地方自治体の理解と協力を得ながら支部づくりを推進していく必要がある。

 

(2)本調査によると全国の地方自治体に登録している太鼓団体は876となっている。しかしながら全国的な実数は、この十数倍はあるといわれている。この登録団体数の都道府県別内訳を見ると、上位10位までに当財団に加盟している支部が9(道)県入っている。

 

 

 

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