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はじめに

 

日本太鼓は、古来より神事や祭礼において、または伝達手段として重要な役割を担う楽器として伝えられてきましたが、近年では日本の伝統音楽並びに郷土を代表する芸能として地域社会における評価が高まり、国内で目覚ましい発展を遂げております。また、海外においても日本太鼓の演奏は、「日本の心」を伝えるものとして大きな関心が寄せられております。

日本太鼓は、特に太鼓に向かう真摯な態度や、団体演奏に必要なチームワークの大切さから、礼と節が備わることが評価されております。全身を使っての演奏は体力づくりとして、また、太鼓のリズムは生活のリズムを養うことに結びつくものとして注目されております。

太鼓愛好者は、子供から高齢者まで年齢層が広く、最近では主婦をはじめ女性グループも増え、男女の比率も均衡してまいりました。また、健常者のみならず身体・知的障害者のグループも誕生しており、太鼓演奏が心身の鍛錬に寄与することが立証されております。

現在、財団法人 日本太鼓連盟には、全国47都道府県のうち、29道府県が支部として加盟しております。また、加盟団体は700チームを上回り、会員総数も2万人を越えております。

このような実状を踏まえ、今後とも日本太鼓の伝統伝承と普及、振興を図っていくため、太鼓と地域(市区町村)の関わりを知るアンケート調査を実施いたしました。この調査により、地域、市民の太鼓への関心度、地域の交流と親睦を果たす太鼓の役割、教育面における太鼓の位置づけ、伝統芸能の継承・保存等について把握することが出来、この調査結果を基に日本太鼓を取り巻く現状を分析し、報告書として取りまとめました。

本報告書は、当財団のこれからの事業活動を展開していくための一助として、また、太鼓文化のより一層の発展に供するものと考えております。

各位におかれましては、ご一読いただき、ご忌憚のないご意見を頂戴いただければ幸いに存じます。

本実態調査にご協力いただきました、全国の市区町村の方々に対し心から感謝の意を表する次第であります。

 

1999年3月

財団法人 日本太鼓連盟

会長 吉野和男

 

 

 

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