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依田成史のスポーツクラブ・マネジメント2]

スタッフ、従業員をどうまとめあげるか

 

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横浜カントリーアンドアスレチッククラブ(YC&AC)ゼネラルマネージャーとして22年間勤務。

 

YC&AC概要

所在地 横浜市中区矢向台11-1

設立 1868年(明治2年)

敷地面積 33,000m2

会員数 36カ国、約600家族

 

講演などでいつも申し上げることですが、企業でもクラブでも、いかなる組織も従業員の質以上に良くなることはありません。従業員、スタッフの質の向上・質の維持管理という点から、YC&ACの週例会議について、今回はお話しましょう。

この会議はマネジメントスタッフを集めて、毎週木曜日に開かれる、いわばマネジメントに関する唯一の意思決定会議です。議長は私。出席者は私のほかに、アシスタントマネージャー総務、経理、料理長などの9人のデパートメント責任者です。

会議は、まず、前回の議事録の承認から始まります。議事録は開催後3日以内にオペレーション・マネージャーと私がチェックし、各デパートメント責任者に配られたものです。理事会と同様、すべてを透明にし、建前と本音を分けず、言うべきことは発言し、修正がある場合は訂正し承認します。承認を受けた議事録は従業員食堂に掲示し、スタッフ全員が眼を通します。週例会議では理事会や委員会が開かれた週はその報告と質疑応答が行われます。各デパートメント責任者からの質問で私が回答、決断できない件は理事会、委員会に再提出されます。毎月の月次決算書および週ごとのレストラン、パーティー、バーの売上げ、そして会員制クラブの最も重要な会員数の週ごとの報告を行います。

また、今週予定されているスポーツその他のイベントについての打合せ。そしてこれが最も重要なのですが、会員からの意見ノート報告があります。これは、リマークス・アンド・サジェスチョン・ブック(クラブに設置されている目安箱のようなものです。)に会員メンバーが苦情や要望・質問を書き込むもので、原則的には、毎日、オペレーションマネージャーか私が回答しています。マネジメントスタッフで解決できない内容であれば、各委員会あるいは理事会で検討する旨を書き込んでおきます。

その他、スタッフ、従業員全員に関する事項を検討して、決裁すべきものはスピーディに決定していきます。会議の議事録は、閉会後3日以内に、私とオペレーティング・マネージャーがチェックし、各部門責任者に配られ……と連綿と続いているわけです。

私がスタッフ、従業員に徹底させていることがあります。「われわれ従業員は、会員の方たちに楽しんでもらうため、皆さんに幸せになってもらうために、これだけの努力をしています。」という姿勢をあらゆるシーンで会員の眼に焼き付けること。身ぶり、手ぶり、話しぶりで、常に会員に伝えていくことです。その継続が会員の意識を向上させ、「なるほど、クラブライフというものは単にお金を払ってサービスを受け取ることではなくて、自分たちも積極的に参加して、会員の為のクラブであると同時にクラブの為の会員であると理解し、自分たちの独自なクラブカルチャーというものを創らなければならない。」。そういう考え方が会員の中に芽生え、前回申し上げたような、理事会、委員会の運営が行われているのです。そして会員の意識のめざめとともに、従業員たちのサービスにも磨きがかかっていくのです。この相乗作用がYC&ACの強味だと考えています。

スタッフ、従業員をマネジメントしていく上で不可欠なのが、職務規定です。クラブの収入は、入会金、会費及び事業収入から成りますが、その規模は、会費×会員数が基本となります。会員の数も会費も決まっているのですから、会員以外の方を対象にしたイベントを組み、収入をアップさせるにしても自ずと限界があります。となると、支出に回せる額がどれくらいあるのかも概算できるというものです。スタッフや従業員のなかでもキーパーソンとなる人は、他の産業と比較しても、コンペティティヴでなければなりません。たとえば、料理長やシェフ、ソムリエやバーテンダーという職種は、他産業にひけをとってはならないのです。

私どものクラブでは60人の従業員を使っていますが、固定給を支払っているキーパーソンは15人程度です。残り45人はアルバイトかパートの方です。つまり、物理的に人手が必要になる土日に合わせて、ウエイトレス、ウエイター、バー従業員、グランド整備員、清掃員を増やします。いわば、臨時雇いですが、この方々にも先ほどの「従業員マインド」をもって会員に接してもらわなければなりません。

1年以上、働いていただいているベテランもいますが、新人もいます。しかし、会員にとってはそのどちらもがYC&ACの従業員なのです。今日入ったウエイトレスでも、2〜3日後には、とりあえず会員のオーダーがとれて、それほど支障のないサービスが提供できなければなりません。その為には、各ポジションの仕事に関する職務規定を作り上げなければなりません。

次回は、私どもの企業秘密ともいうべき「職務規定」についてお話します。

 

こまつなおゆきの「元気の作り方」講座 ●第1回

 

「元気」はこうして作られる!

 

それでなくてもストレスが多くてめげそうな世の中なのに、絶えず健康のことに気を使うのは、かえってストレスがたまってしまいそうです。だからといってストレスにやられっぱなしでは悔しいじゃありませんか。たとえ現実が厳しくても、決然と立ち向かって逞しく生きて行く、そのためのヒントを提案します。

 

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小松直行(こまつなおゆき)
1960年横浜市長者町生まれ。筑波大学体育専門学群卒。東京大学大学院教育学研究科体育学専攻修士課程修了、同博士課程中退。資生堂ビューティーサイエンス研究所研究員を経て95年より日本女子体育短期大学講師。『身体教育の社会学(高文堂)』『ウエルネス・ウォーキング(求龍堂)』など著書多数。

 

「スポーツがあなたを救います」とワタシが言うと皆さんは「またぁ。体育の先生ってなんて単純なんだろう」って思うかもしれません。しかし、だまされたと思ってとにかく始めてみてください。運動がどんなふうに私たちに効くのか、いくつかあげてみましょう。

■運動は真の疲れをもたらす

運動は「解放」です。運動の場では仕事上の人間関係はゆるみ、あるいは切り離されます。日常的な立場や関係とは違ったつながりが生まれるのです。もちろん頭脳労働や偏った姿勢による筋肉の緊張がほぐされてカラダも解放されます。仕事の疲れはいまや肉体の疲労ではなく、精神的な「疲労感」に過ぎません。運動によってカラダをしっかりと働かせることで真の疲れがもたらされるのです。

■スピード&集中で健全な思考停止

憂うつな気持ちは、放っておくとどんどんネガティブな方向に向かいがち。いったんピリオドを打つことも必要です。スピードと集中力の要求されるスポーツがいいですね。テニスをはじめラケットスポーツがお勧めです。

■チームスポーツは気晴らしに最適

自信がなくなると殻に閉じこもりがちですが、グループで行う運動はあなたを引っぱり出して、みんなで一緒に活動する喜びを味わわせてくれて、気晴らしには最適。

■孤独な運動で怒りを解消

一方で、自分ひとりの運動、たとえばサイクリングやゴルフの打ちっ放しは、集中するための、本当の一人きりになる時間を提供してくれます。つらい気持ちや怒りを解消するのには適しています。

■リズミカルな運動でリラックス

ウォーキングやランニング、ポート漕ぎのようにリズミカルな動きの繰り返しは、気持ちを落ちつかせます。うまい下手のあまりない運動ですからもってこいですね。脳波を調べるとα波が増えているのが観察されます。

■運動は脳に効く

運動はリラックス感、満足感をもたらす物質セロトニンの分泌につながります。また、活発な運動は脳のなかにエンドルフィンを分泌させて痛みを和らげ、良好な状態にあるという感覚もたらします。

■真の疲れが深い眠りを誘う

高いところから飛び込めばより深いところへ潜れるように、運動で興奮させた心とからだは深い眠りを眠ります。精神的な疲労の果てのやむを得ない「休止」ではなく、新陳代謝と細胞づくりのための建設的な「休養」としての睡眠。あなたはフルに充電されるはず。

■体調改善が自信を生む

運動すればカラダにダイレクトに効果が出ます。そして体調がよくなれば気持ちも上向きになるのはごく自然な反応です。運動によって自分の体調を自分で管理できたという感覚こそ、やがて自信と希望につながるんです。

 

いまや定期的に運動していることが大義名分。自慢できる、ほめられるべきことです。堂々と仕事を切り上げる理由にしてください。まずは毎日のスケジュールの中に時間を設定してください。そして、あなたがいちばんやりやすい運動をはじめてください。それは「自分のカラダのための時間」です。ヤル気と元気はあなたのカラダの中にあるんです。

 

SSF・TOPICS

http://www.ssf.or.jp/

E-mail:info@ssf.or.jp

 

「マリンピアザ オキナワ」OPEN!

青い空と青い海……沖縄に青少年のためのマリンスポーツ体験施設「マリンピアザオキナワ」(国頭郡本部町)が今月7日にオープンしました。「海と遊び・海を考え・海を知る」ことをテーマにした同施数は、経験豊かなインストラクターを多数揃え、初心者も安心してマリンスポーツを楽しむことができます。また、最大収容者数は260名で、修学旅行などの団体にも最適な施設です。この夏、沖縄を訪れる方はぜひ一度足を運ばれ、心ゆくまでマリンスポーツを満喫されてみてはいかがでしょうか?

【問い合わせ・予約】

B&Gホテル「マリンピアザオキナワ」

TEL.0980-48-3000

 

ASFAAニュースレター最新号発行

ASFAA(アシアニア・スポーツ・フォア・オール協会:SSFが事務局)のニュースレターが発行されました。このニュースレターは、アジア・オセアニアのASFAAメンバーだけでなく、世界の主要スポーツ・フォア・オール機関150ヶ所に配布しているものです。今回は、スイス、南アフリカ、シンガポールの最新のスポーツ・フォア・オール・キャンペーンについて紹介しているほか、ASFAAブックレット、ゲームズフェスティバル、ワールドゲームズなどの情報も掲載されています。このASFAAニュースレター(英文)をご希望の方は企画部までご連絡ください。

 

"CLUB netz"発足

この度、今世紀中に「総合型スポーツクラブを100ヶ所つくることを目標とした、クラブネッツが誕生しました。クラブネッツは、黒須充氏(福島大学)と水上博司氏(三重大学)が中心となり、総合理スポーツクラブづくりをすすめる上での具体策や注意点などを検討するほか、質問や話題を取り上げ、情報交換をしていこうというものです。難しいことを話し合うわけではありません。スポーツクラブに少しでも興味のある方なら、ぜひご参加ください。

【参加についてのお問合せ】

水上博司氏(三重大学)

TEL&FAX 059‐231-9296

 

プレゼントクイズ

 

「SSF世界スポーツフォトコンテスト'98」には、世界50カ国から多くの作品が寄せられました。さて、応募点数の総数は?

約○○,○○○点

 

【応募方法】

わかった方は、答えと住所、氏名、年齢、電話番号、職業を明記の上、ご意見、ご感想を添え、下記のいずれかの方法でご応募下さい。

正解者の中から抽選で「SSF世界スポーツフォトコンテスト'98写真集」を、20名様にプレゼントいたします。なお、当選者の発表は発送をもってかえさせていただきます。

 

【応募先】

SSF笹川スポーツ財団

「読者プレゼントクイズ」係

1] ハガキ:〒105-0001東京都港区虎ノ門1-5-16

2] FAX:03-3580-5968

3] E-mail:info@ssf.or.jp

 

【応募締切】

平成10年8月7日(金)

 

 

 

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