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SSF「平成10年度事業」予定

 

社会状況の変化の中、自由時間が増加し、「スポーツ需要」が増えています。SSFらしく様々な角度、多彩な切り口からスポーツを捉え、今年度もより一層、内容の充実に全力で取り組んでいきます。

 

1]SSFスポーツエイド

情熱をもってスポーツの普及活動に取り組むものの、「裾野の拡大がなかなか図れない」といった悩みをもつスポーツ団体に対し、大会や教室・講習会の開催及び国際交流事業などに100万円を限度として資金援助を行う制度がスポーツエイドです。「日本のスポーツを元気にしたい」を合言葉に平成3年度からスタートし、今年で8年目を迎えました。平成9年度までに、延べ3,483事業に対し約21億円を交付してきました。また、平成10年度は470団体に対し、約3億円の交付が決定しております。これからも“スポーツの普及活動の助っ人”として全国の様々なスポーツ団体を応援していきます。なお、来年度事業の申請は'99年1月に受け付ける予定です。

 

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2]チャレンジデー

本号で詳しく紹介しているように、世界中で一斉に開催される市民参加型の一大スポーツイベントです。昨年は世界28カ国1,500以上の自治体で開催され、日本では26自治体が実施、約25万人が参加しました。昨年の平均参加率は70.2%、住民の半数以上が参加するという、わが国では類を見ない市民スポーツイベントとなりました。6回目を迎える今年は、5月27日、全国35自治体が実施します。

 

3]SSF世界スポーツフォトコンテスト

過去2回開催したこのコンテストには、プロ・アマ問わず世界50カ国以上から約10,000点の応募がありました。スポーツの1シーンを切り取るというよりも、スポーツそれ自体を取り巻く環境・情景・風景のすべてを含め、競技している人・観戦している人・そのイベントを陰で支えている人たちの瞬間的・感動的なシーンを捉えることに重点を置いた、世界最大規模のフォトコンテストです。このコンテストを通じてスポーツ実施への動機付けと、スポーツを文化として根付かせることを目的としています。

第3回目の募集となる今回(フォトコンテスト'98)には、前回を上回る12,000点の作品が世界55カ国から集まりました。なお、8月上旬の横浜そごうを皮切りに各地で入選作品展覧会を開催します。

 

4]ワールドゲームズフェア

来る2001年のワールドゲームズ秋田大会を成功に導くために、地元にワールドゲームズ競技種目を周知させることを目的に開催します。また2001ワールドゲームズ大会でのボランティアを育成し、ボランティアネットワークを構築することも目指します。10月3日(土)、4日(月)開催予定。

 

5]「スポーツ・フォア・オール国際フェア'98外苑大会」

 

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スポーツのメッカ「神宮外苑」で、周辺住民をはじめ、広く一般の人々を対象に40種類のスポーツを一堂に会して、これらスポーツの紹介、指導を行います。スポーツ愛好者の増大とスポーツ団体間の相互交流を目的に実施します。また毎年開催している「外苑ロードレース」とあいまって、神宮外苑を拠点としたスポーツ愛好者中心のクラブを作ろうという気運も生まれています。11月下旬開催予定。

 

6]スポーツライフに関する調査

SSFでは、スポーツの実施状況を的確に把握する独自の手法を編み出し、1992年から2年ごとに全国調査を行っています。「実施頻度」「実施時間」「実施強度」の3つの観点からスポーツ人口を算出するわが国初の調査に、前回(1996)も国内外のスポーツ関係者、マスコミに大きな反響を呼びました。今年度は、6月に全国調査を実施し、「体育の日」にあわせて結果を発表しています。報告書は、全国官報販売協同組合を通じて政府刊行物取り扱い書店で販売します。なお、今までの各調査は現在も発売中です。

 

7]SSFスポーツネットワーク

SSFスポーツ・フェア・オール・ネットワークは、スポーツの普及に熱心なスポーツ団体同士が、お互いに協力し合うために組織された情熱ネットワークです。現在、全国の608のスポーツ団体が加盟(年会費5,000円)し、これらの団体に所属している人数を総計すると、330万人にのぼります。FAX情報サービス、フォーラムの開催、各種特典サービスなどを実施するほか、SSFネットワーク会員間及びスポーツ関係機関との相互協力の体制を整え、スポーツ団体の普及活動のお手伝いに努めています。

 

子ども達に「人間の可能性」を教えたい

パラリンピックキャラバン

に参加しませんか?

パラリンピックキャラバン代表・中山薫

TEL03-3755-9120

 

平成7年にアトランタでオリンピックとパラリンピックを共に観戦したとき、パラリンピックでは、オリンピック以上に大きな感動が湧き上がるのを目のあたりにしました。人間の持っている可能性の偉大さと、限界に挑戦する各選手の努力が、人として深い感動と共感に駆り立てたのでしょう。

日本では、身体障害者スポーツを、いまだにリハビリの一環として捉えている風潮があります。しかし、実際はたいへん高度な技術を要求されるハードな競技なのです。車椅子バスケットボールを例に取ると、ドリブルをしながら車椅子を操作し、健常者には及ばぬスピードで移動しながら足腰のバネ無しで低い位置からシュートします。不撓不屈の日々の鍛錬無しには体得出来ない競技性の高いスポーツである事に驚愕します。盲人の走り幅跳びは、音源だけを頼りに見えない踏み切り板に向かって全力疾走し、空中に身体を投げ出すのです。そうなるまでには、健常者の想像を絶する勇気と努力が不可欠です。

この真摯に競技と向かい合っている選手の姿と、そこから生まれる感動を何とか日本の子どもたちにも伝えたいという思いから、「パラリンピックキャラバン」を平成9年5月にスタートさせました。

昨年度のキャラバンでは、パラリンピック選手によるデモンストレーションと講習会、障害者スポーツの紹介ビデオ放映、パラリンピック競技の写真展という内容で、神戸市教育委員会を通じて市内の各小学校に呼びかけ、神戸市立多聞台小学校をはじめ、20校の小学校で実施し、8400名の参加がありました。子どもたちは選手の話を聞き、デモンストレーションをその目で見、メダルを実際に手に取ってその重みを実感し、選手の努力と競技性の高さを深く理解してくれました。

選手との交流を通じて誰しもが共感することが二つあります。「真摯な努力は必ず実を結ぶ」と「健常者と障害者は生活手段に差異があるだけである」ということです。

他との違いが個性であり、それを尊重することがいじめや障害者差別の払拭への第一歩に繋がることを信じて、今後も活動を続けていきたいと考えています。

今年は、小学校だけでなく、中学校や高校にもキャラバンを広げていく予定です。あなたの学校でも参加しませんか?興味のある方はご連絡ください。

 

海外トピックス

 

国際スポーツ情報協会の年次会議

香港で初の開催

 

3月31日〜4月5日までの6日間、国際スポーツ情報協会(International Association for Sports Information 【IASI】)の年次会議か香港スポーツ研究所で開催された。

この国際会議には23カ国から43名のスポーツ情報機関関係者が出席し、IASIのクラーク会長より「スポーツ情報とスポーツ産業の未来」、カナダの前IASI会長のチィアソン氏より「過去、現在、未来のスポーツ情報」、また、中国の国家体委体育信息研究所のテェイ氏から「マルチスポーツにおけるスポーツ情報の役割」など、各国からのスポーツ情報に関するプレゼンテーションが行われ、また、オープンフォーラムでは、今後のスポーツ情報の提供方法、各人が抱えている諸問題等について討議があった。

3月31日には、アジア地域(中国、香港、台湾、サウジアラビア、イラン、マカオ、日本)の出席者により、アジア・スポーツ・インフォメーシヨン協会(ASIA SPORT INFORMATION ASSOCIATION 【ASIA】)の設立について検討会が行われた。ASIAはIASIの地域組織協会として2001年までに承認され、設立する予定となった。

 

*このコーナーではスポーツ・フォア・オールの情報が

クローズアップ

キラリと光る自治体を紹介しています。

 

民間との連携でレベルアップを!

 

東京都新宿区

新宿区教育委員会 社会教育主事 大竹弘和

 

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ローラーブレード体験コーナー

 

都庁の移転などで大企業も集中し、新宿区は東京の中心になろうとしています。同時に商業スポーツ施設の数も増し、多くの住民がスポーツ活動に親しめる環境が整ってきました。図1は、平成6年度の新宿区世論調査の結果ですが、公共施設に比べ、会社所有を含めた民間スポーツ施設の利用者が圧倒的に多いことがわかります。私たちの独自調査でも、15社以上の商業スポーツ施設が営業を行っていました。しかしその実態は、景気低迷などから決して順調とは言えず、会員確保に悪戦苦闘しているのが現状のようです。行政においても、予算の大幅削減による事業の縮小や、公立スポーツ施設の利用率低下などの問題を抱え、その解決方法として当区では、民間との連携を計画しました。「最小の経費で最大の効果」「行政の枠にとらわれない発想」をテーマに、まず、「新宿スポーツフェスタ」を開催しました。(96年、97年ともに10月10日開催)新宿スポーツセンターと都立戸山公園を中心とするメイン会場では、新宿区スポーツ振興財団、体育協会、体育指導委員、それに民間が協力し、40種目以上の事業を展開。特に民間が担当したスキューバダイビングやカヌー教室、ローラーブレードやアウトドア体験コーナーは、多くの参加者を集めました。

会場の提供は行政が行い、用具やノウハウ、インストラクターなどは民間が独自で賄って運営するという方法です。他に、NHKハイビジョン放送のワールドスポーツの紹介や、緊急時の呼び出し用ポケベルを使った託児コーナーなどが好評で、メイン会場の参加者は約2万人を数えました。

また、区内にあるフィットネスクラブが、サブ会場として自前の施設で独自の事業を実施したため、参加者が1ヶ所に集中することなく、区内各所でスポーツが楽しめる結果となりました。

民間との連携については、賛否両論があると思います。しかし、次のような効果と狙いがあったことを紹介させてください。

1]いろいろな制約から、面白味に欠ける行政主催イベントの殻を打ち破ることができる――スポーツイベントが氾濫するなか、魅力あるイベントを提供するには民間の協力は欠かすことができません。同時に民間においても、行政の組織力や広報活動は大きな魅力といえます。

2]企業の協賛や協力により、資金不足を補うことができる――金銭や物品、人的な援助は、当初予算の倍以上の効果をあげることが可能です。

3]両者の協力体制の基礎を築くことができる――この事業をきっかけに、情報交換や研修、事業の共催なども視野にいれた「民間スポーツ関連企業連絡協議会」を設立しました(平成9年12月)。民間のスポーツ情報を入手することで、住民へのサービスにつながり、事業のバッティングも防げます。合同研修や指導者の交流は、質の向上につながるうえ、バラエティに富んだ事業展開も可能になるでしょう。行政が直接行うことが困難な事業では、民間が主催し、行政が後援していくという形もとることができます。

民間との連携を上手に行えば、区全体のスポーツ振興のレベルアップにつながると確信しています。

 

図-1 利用しているスポーツ施設 複数回答.N=550

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