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3.2.2 燃料消費量当たりの排出係数の比較

過去の調査における燃料消費量当たりの排出係数の比較を表3.2-3に示した。表のうち、IPCC以外の調査においてはCH4とNMVOCの区別を行っていない。両者の合計値(THC;Total Hydro Carbons)として示している。測定方法としては、THCの方が容易であるが、地球温暖化指数や、光化学反応における反応性が、CH4とNMVOCとで大きく違うため、近年は両者を区別して取り扱う場合が多い。

NOxについて細かく見ると、IMOのreportを基にしている70g/kg-Fuelと、Lloyd'sの実測値に基づく80g/kg-Fuel以上の数値のグループに分かれている。IPCCのガイドラインも1996年のrevised版では、NOxの排出係数を変更している。平成2年度のSO財団の調査においては、4Cycleで70.6g/kg-Fuel、2Cycleで96.7g/kg-Fuelと単純平均を出した上で、ボイラー主機船を含めて70g/kg-Fuelという係数を設定している。

一方、COとPMについては設定値に二倍以上の開きがあり、NOxに比較して情報量の少なさを反映しているものと思われる。

CO2についても舶用燃料の熱量推定値の違いによる差が見られる程度で、3,150g/kg-Fuel前後の値を用いて大きな誤差は生じないと考えられる。

SO2については、燃料油中の硫黄分がすべてSO2に転換すると仮定すると、硫黄含有率をs%として、SOx排出量は20sg/kg-Fuelと計算できる。

燃料1kg中の硫黄(g)=1000×s÷100=10s

硫黄の分子量32、酸素の分子量16より、SO2分子量は64と計算される。

硫黄含有量から計算されるSO2量10s×64÷32=20s

しかし、表3.2-3に示すように、IPCCなどでは、21sg/kg-Fuelと表現されている場合が多い。これは、ロイドが実測した実測値をもとに計算された関係式であり、その理由として測定前の低負荷運転時に排気系内に残留蓄積していたSO2が、測定時の高負荷運転(85%MCR)時に排出されたためによると説明されている。しかし本調査のように、oceangoingや年間を通じての排出量においては、蓄積したSO2は平均的に排出されると考えられるので、理論値である20sがグローバルな排出値としては適当であると考えられた。

 

 

 

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