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一方、小型の船舶への搭載使用することを考慮すると、装置のコンパクト化が不可欠である。したがってNOx以外の共存ガスを前段で処理する必要のないシステムが望ましい。そこで共存阻害物質、特に水蒸気の共存による吸着阻害の程度を試算した結果、水蒸気の共存は極めて深刻な影響を受けることが明らかになった。ハニカムにすることおよびSOxによる被毒影響も考慮するとさらに吸着能を向上させる必要がある。

 

3]最適触媒システムの設計

上記調査および検討に基づいて、小型内航船用として脱硝率の高い触媒の設計を行うとともに、特に始動時等(低温時)の排ガス脱硝率の高いシステムとして「吸着剤-選択還元触媒」の複合化による新しい触媒システムを検討した。

文献等の検討結果からゼオライト、Ba-Cu-O、Mn-Zr-OはNOx吸着能も大きいため極めて有望な材料であることが明らかとなったため、これらについて検討を行った。

 

(2)吸着剤の試作・評価

1]吸着剤性能評価装置の設計・製作

前項の評価結果に基づいて、以下のような仕様の装置を設計・製作し吸着剤の性能を評価した。

模擬排ガスとして100〜10,000ppmのNOxを含むガスを流すことが可能な常圧固定床流通式反応装置とする。そのために反応ガスは、それぞれ流量をサーマルマスフローコントローラで制御する。本反応では、供給ガス中のそれぞれの反応基質濃度がいずれも極めて低い。そこでより正確な流量制御を行うため、ガスの供給にはO2以外、Heによる希釈ボンベを使用する。触媒を反応管内にシリカウールを用いて固定し、反応時に触媒層内の温度差が±1℃以内になるように装着し、反応温度の制御は触媒層の中心に挿入した熱電対により行う。

 

2]吸着剤の評価

種々の文献事例の検討結果に基づいて種々の吸着剤の調製を行い、その評価を行った。

また吸着性能試験は調査結果から以下の2種類について検討を行った。

 

 

 

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