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4]脱硝装置の小型化

脱硝装置の中でも、反応器と還元剤のタンクが大きなスペースを占めており、狭い船内スペースを使うためにも装置の小型化が必要である。

現状では脱硝装置を搭載するためには、通常の1.5〜2倍程度の体積の煙突が必要となるため、さらに高活性化、高機能化を図り、装置の小型化を行うことが必要である。

 

5]負荷変動への対応

ディーゼル機関の排ガス中のNOxの濃度は負荷に応じて変動するため、負荷変動に対応した還元剤の注入システム、またそのためのNOx濃度の精密計測技術の開発も必要となる。負荷変動に素早く対応するためにはNOxセンサーの開発も必要と考えられるが現状では出口NOx濃度は機関回転数と湿度計測から予測して、アンモニアや尿素等の噴射量を決定している。これらのことをふまえて、精密計測技術の開発が不可欠である。

また、本調査研究で検討を行った「吸着剤-選択還元触媒」システムでは、排ガスの温度が上昇し、充分に脱硝装置の温度が上昇すると、吸着剤からNOxが脱離し、その分のNOxを後段の選択還元触媒で処理する必要があるため、このような精密計測技術と、それに合わせた還元剤の注入システムの開発は不可欠である。

 

6]取り扱いの容易な還元剤と供給体制の整備

取り扱いやすく、安価な還元剤の開発が必要である。また還元剤の供給のための港湾付帯設備の整備が必要である。現状では有害でハンドリングの困難なアンモニアに代り、尿素を用いた選択還元法が主に検討されているが、タンクスペースの確保等の問題がある。したがってボンベにてガス体で供給できる還元剤、例えば炭化水素等がより取り扱い上は有利であるが、コストの問題が生じる。後述するように排ガス中に微量存在する未燃の炭化水素類を還元剤とする「炭化水素-SCRシステム」や還元剤を必要としないNOの直接分解が理想である。

 

 

 

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