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また、排ガスの温度は触媒が有効に作動するおおよそ300〜400℃の範囲にあることが望ましいが、最近のディーゼル機関では過給器出口の排ガス温度が低くなる傾向にあるため、特に2サイクル機関ではエンジンと過給器の間に脱硝装置を設ける必要があり、排気系統の煩雑化につながる。いずれの場合にも、反応温度の確保あるいはアンモニウム塩の析出防止のために排ガスの温度コントロールが必要であり、場合によっては過給器下流での排ガス再加熱等による温度制御を考える必要がある。

 

(2)求められる研究開発課題

本研究開発で得られた技術を排ガス浄化用触媒システムとして船舶に搭載するためには、以下に示すような種々の技術開発課題が挙げられる。

 

1]充分なNOxの吸着量と適切な作動温度を示す吸着剤の開発

停泊時から触媒が有効に作用する温度までNOxを吸着しうる、充分な吸着量を持った吸着剤の開発が不可欠である。特に選択還元触媒が有効に作動する温度である300℃程度までの吸着量が大きいことが不可欠である。また停泊時を考慮すると、前述の実測データからは排ガスの温度は100℃程度であるので100℃〜300℃の温度域での吸着能力が高いことが望ましい。

 

2]共存水蒸気による吸着阻害の抑制

吸着剤により排ガス中のNOを除去しようとした場合、共存ガス、特に水蒸気が含まれる場合には、その阻害が問題となる。共存水蒸気によるNOの吸着阻害の影響を受けにくい吸着剤の開発が不可欠である。

 

3]種々の被毒物質の阻害の抑制

前述したようにディーゼル排ガスの特性として、SOx濃度が高い、すす等の排出が多い、などがあげられる。実排ガスの処理に当たっては、以下に示す種々の吸着阻害要因が考えられる。

1)SOxによる被毒

2)すす等による被毒

3)燃料、潤滑油から生成するNa、K、Ca、Pなどによる被毒

これらの影響についても検討する必要がある。

 

 

 

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