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(2)吸着剤の性能評価

前項で述べた検討結果から、吸着剤に求められる吸着能力は3.3〜4.4 cm3程度と考えられる。これまでに報告されている吸着剤の吸着能力は十分かどうかについて比較した。

1]Cu-ZSM-5のNO吸着量

岩本らの報告では約 20cm3/g-cat(273K)となっている。

(1g=2 cm3とすると10.0 cm3)

 

2]Ba-Cu-O(Ba:Cu=1:13)のNO吸収量

NOx=1,000ppm, SV=6,000h-1、200〜400℃まで5deg/minで昇温し

400℃までは100%吸着するとされている。

したがって、40/60×6,000×0.001=4.0cm3のNOxを吸着可能である。

 

3]Mn-Zr-O(Mn:Zr=1:1)のNO吸収量

NOx=900ppm, O2=10%, W/F=1gs/cm3の条件下で、200℃一定では2時

間100%のNOxを吸収可能であると報告されている。

200℃での飽和吸収量=4.8 × 10-4 mol/g

≒ 10.8cm3(1g=1cm3と仮定)

 

求められる吸着能力の3.3〜4.4cm3/cm3・catは数値上、充分実用に耐えうる吸着量である。しかしながら、実用化を考えるとハニカム触媒とする必要があり、共存ガスによる吸着阻害も考えられるため、吸着量の増大が必要であると考えられる。その程度については次節で試算した。特にディーゼル排ガスへの適用を考慮した場合、H2O、SOxへの耐性のある材料の検討が不可欠である。

 

(3)共存ガスによる吸着阻害の程度の見積もり

次に共存ガス、特に水の共存による吸着阻害の程度を試算した。岩本らの結果ではCu-ZSM-5の共存水蒸気の阻害については検討していないが、荒井らはBa-Cu-Oについては2%共存H2O存在下で40%のNO除去率が維持できること、MnOx-ZrO2は200℃一定の条件では水の影響をほとんど受けないことを示している。これらの実験データから、Cu-ZSM-5およびBa-Cu-Oが水により吸着が阻害され除去率が40%まで低下すると仮定し、MnOx-ZrO2は水の影響を受けないとするとそれぞれの吸着能力は以下の通りと見積もられる。

1]Cu-ZSM-5:10.0×0.4=4.0cm3

2]Ba-Cu-O:4.0×0.4=1.6 cm3

3]Mn-Zr-O(Mn:Zr=1:1):10.8cm3

 

 

 

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