(3)要求される吸着量の検討
次に、これらの前提条件から、どの程度の吸着量が要求されるかを試算した。試算に当たり、小型内航船の代表例として下記に示すガス流量を参考にした。
新潟鐵工所における脱硝装置搭載船脱硝装置搭載船の運転条件
100%負荷相当時:ガス量=7,400m3[normal]/h、SV=6,600h-1
75%負荷相当時:ガス量=5,600m3[normal]/h、SV=4,990 h-1
これに加えて先に示した前提条件を仮定して必要吸着量を求めた。
・アイドリング時間は10分間で排出NOx濃度は1,000ppmとする。
また、この時のガス 排出量はSV=1,100 h-1とする。
(100%負荷相当時の1/6)
・離岸〜定常運転までの20分間で触媒温度が300℃まで到達し、
この間のNOx排出量は平均して2,000ppm、平均SV=5,000 h-1
とする。
・吸着剤の初期吸着能力100%
したがって、これらの条件から、
10/60h×1,100 h-1×0.001 + 20/60h×5,000 h-1×0.002
= 3.5 cm3 /cm3・cat
のNOx吸着容量が必要と見積もられる。
また、アイドリングが長くエンジン始動後アイドリングを含めて80分間(アイドリング60分間)で触媒温度が300℃まで到達すると仮定すると、必要な吸着量は4.4cm3 / cm3・catとなる。
逆に、アイドリングをほとんどせずエンジン始動後すぐに離岸し、20分間で触媒温度が300℃まで到達すると仮定すると、必要な吸着量は3.3 cm3 / cm3・catとなる。
これらの検討結果から、吸着剤にもとめられるNO吸着能力としては吸着剤1cm3 あたり3.3 〜4.4cm3の範囲と試算した。