日本財団 図書館


2.3.3 吸着剤の事例調査

 

(1)はじめに

船舶からの排ガス中のNOxを除去するための固体NO吸着剤に要求される性能として以下の2点があげられる。

1)低濃度でも迅速にNOを吸着することができる高い吸着能力

2)排ガス中に共存する水蒸気、SOxに対する安定性

ここでは船舶用として有望なNOxの吸着剤を選定する目的で、これまでに検討されているNOの吸着剤の例の文献による調査を行った。

 

(2)エンジン排ガス吸着システム

米国の触媒メーカーのEngelhald Corp.のJ.S.Feeleyら(SAE Paper 950747, 1995)はディーゼルエンジン排ガス浄化用システムとして4-way catalyst systemを提唱している。NOx trap materialによりをアイドリング時などの低温で生成したの排ガスを一時的に吸着し、高温で脱離、還元除去することを目的としている。還元触媒にはCu-ZSM-5 and/or Pt/Al2O3を使用するが、何を用いるかはNOx trap materialの吸着能によって選択するとしている。現時点では組成は明らかにされていない。

 

(3) ゼオライト

北海道大学の岩本教授らは圧力スイング法(Pressure Swing Adsorption)によりNOを吸着分離する目的で種々の金属イオン交換ゼオライトのNOの可逆および不可逆吸着量を測定し、銅、コバルト、銀等、いくつかの金属イオン交換ゼオライトが高い吸着量を示すことを見いだしている。

一方、九石ら(産業創造研究所)は酸処理天然ゼオライトによるNOの温度スイング吸着法について検討を行っている。

この他にも松下電器産業の塩基性官能基を付与したゼオライトNO吸収剤の特許の例がある。塩基性官能基をもったシラン化合物を用いることでゼオライトに塩基性を付与し、酸性ガスの吸着能の向上を図っている。捕獲された酸性ガスは、水洗または加熱により吸収剤と分離が可能である。また、塩基性官能基はシロキサン結合によりゼオライトと結合しているため、加熱、水洗行程で担体からはがれないととしている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION