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入って、某中学校に転入したんですが、どうも元気がないんですね。いつもはなんでも話してくれる子供がどうも様子がおかしい。ようやく聞き出しましたら「実はいまいじめにあっている」と。

堀田 それはそれは。

橋本孝 いじめ?なんだろうと。それで聞きますと「『かっぺ』『かっぺ』っていわれてる」「田舎っぺ」って。登校拒否になったら大変ですし、すぐに学校の先生に相談しましたら、「転校生はみんなそうされますから、次の転校生が来るまで我慢してください」って(苦笑)。

堀田 信じられない…。

橋本孝 本当にそれだけのお返事でした。その後子供からそれほど悩んだ話は聞いていませんが、あ然としたことを覚えています。

堀田 これまでの学校は、とかく知識詰め込みで、子供たちは偏差値だけの価値観に大変心をむしばまれています。文部省もいろいろ努力をしていますが、ぜひこの点でも、行政も企業もそして私たち市民も、地域から参加していかないといけない。最後になりましたが、知事さん、お願いいたします。

橋本大 人間の自我は一〇歳までにだいたい確立するといわれていますね。つまりそれまでの間に心でいえば情操や感性を身に付けさせてあげることが大切で、これは芸術でもスポーツでも、またボランティアもそうですね。従来の偏差値教育を反省して、堀田さんの言葉でいえば「社会貢献教育」をプログラムとしてきちんとつくりあげることが必要だと私も思っています。そこのポイントとしては、行政、官だけで「プログラムです」と提示してもなかなか動かない。やはりここもボランティアなど、それができる人材、コーディネーターでやれればとてもすばらしいことですね。ぜひそうした社会の流れにしていきたいと思っております。

堀田 教育にしても、福祉にしても行政だけでなく市民が参加できる地域づくりをみんなでめざす。まさにそのモデルが橋本知事率いられる高知県です。こうしたモデルが全国の自治体に広がっていくように心から祈っております。本当にどうもありがとうございました(拍手)。

 

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(本稿は平成10年1月23日にabc会館ホールで行われたてい談の内容の一部を編集したものです)

 

 

 

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