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橋本大 ええ、そうですね。ぼくが知事になってから最初に県の職員にもいったことは「意識改革」なんですが、それでひとつめざしたことは民の感覚、特にマーケティングの重要性なんです。たとえば「学校の給食センターをお年寄りの給食サービスに使いたい」「過疎地で廃校になっている学校をお年寄りのデイサービスに使いたい」、こんなご要望をいただくんですが、これは上からの発想では出てきません。文部省と厚生省という壁がありますから。そうしたタテ割り行政の壁を越える意味でも、マーケティングをすればいろいろなアイデアが出てくるんです。

 

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堀田 ああ、いいですねえ。市民の声を聞いていただけばどんどん行政は良くなるし、そして双方の連携も進むんですよ。

橋本大 担当者レベルにいっても、現在ある通達などの範囲でしか裁量権がありませんから、なかなかむずかしいということはありますね。ただ、局長とか審議会レベルに行けば、柔軟な回答も得られることも多い。ですから「実際にこういうニーズがこの地区であります」ということを、市民のみなさんでどんどん積み上げていけば、いまは行政も変わってきていますので、もっともっと速い速度で変化していくんじゃないでしょうか。

堀田 『さぁ、言おう』も、まさに、そういう気持ちを込めていますので、がんばってみんなでいうようにしましょう。ところでお時間もわずかになりましたが、最後に「心の教育」について少しおうかがいします。知事さんは地域の中で市民も一緒になった仕組みづくりの必要性をすごくよくご理解いただいていてうれしいんですが、私どもではそれを教育現場にも広げようといろいろ働きかけています。まず奥様におうかがいしますが、お子さまを育ててこられたご経験で、最近の教育についてどんな感じをお持ちですか?

橋本孝 私の家のことでお話をしますと、私は子供が小さい頃から「塾に行きなさい」とか「どうしなさい」といったことは一度もございませんでした。心身共に健康で素直に育ってくれればそれでいいと。ところが関西から東京に引っ越したときに長男が受験地獄に

 

 

 

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