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「五一歳で職場を去ったのち、何らかの形で地域に貢献したいと考えて、県主催の女性カレッジで勉強をしたんですが、そこで知り合った仲間から、家事援助を行う団体の存在を教えられ、自分の住む地域にもそういう団体があれば、と強く感じるようになったんです。というのも、今、女性の就業は当たり前になっていますが、その多くは、親が弱くなったら、子供が病気になったらどうしようと、いつもどこかに不安を持って働いているんですね。そんな女性たちを少しでも支援できれば、みんな、安心して仕事を続けられるんじゃないか。一方では、ほんの少しでも助けてもらえば生活しやすくなる在宅のお年寄りも多いはず。そういう人たちに対して、"困ったときはお互いさま"の精神で、今日は手助けする側に回り、逆に自分が困ったときには手助けしてもらえるような住民による互助組織ができれば、家族数が少なくても、年を取ろうとも、安心してこの地に住み続けることができるんじゃないかと思ったんです」

こうして団体設立の決心を固めた稲葉さんは、既設の団体を見学したり、さわやか福祉財団の研修会などに参加して団体設立のノウハウを学ぶとともに、知り合いの女性たちに声をかけて、準備委員会を発足。「これと決めたら、とにかく突っ走る性格なんです(笑)」という稲葉さんのパワーもあって、わずか半年後には団体を発足させたというから、そのスピードぶりには驚かされる。

『助け合い遠州』が選択したシステムは、会員にあらかじめサービスチケット(一時間につき六百円)を購入してもらい、協力を求めたい場合にはチケットで支払うというもの。協力した会員は現金で謝礼を受け取るか(謝礼金は一

 

 

 

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