日本財団 図書館


第3章 トルコ及びシリアの観光資源の概要

 

1. トルコの観光概要

 

トルコの観光及び観光資源は大きく分けて、イスタンブールとマルマラ海周辺、エーゲ海沿岸地域、地中海沿岸地域、黒海沿岸地域、アンカラ、カッパドキアと中部アナトリア地域、東部アナトリア地域に大別される。

東西文明の接点に当たるイスタンブールは、古来多くの民族が覇権を争い、そのため様々な文化が融合してまさに人種と文化の増描とならているうえ、歴史的な遺産にあふれるエキゾチックな町である。マルマラ海やボスポラス海峡に臨み、その美しい景観とともに、世界中の観光客の目をひきつけている。

入り組んだ海岸線を持つエーゲ海はビーチリゾートのメッカである。夏は欧米からのツーリストで賑わうエーゲ海沿岸には古代ギリシャ・ローマの遺跡が散在して、イスタンブールとアンカラに次ぐトルコ第3の都会、イズミールが遺跡巡りの起点となっている。美しいエーゲ海をじっくり味わうのに定期船やヨットを使ったクルーズがある。これもイズミールを中心に行われている。

アンタルヤはトルコのビーチリゾートとして人気が高く、街は地中海を見下ろす高台にあり、そこからの湾とビーチの眺めがすばらしい。アンタルヤを中心に、地中海沿岸にはカシエ、シデ、アランヤといったリゾート地が並んでいる。各ビーチでは、マリンスポーツが近年盛んになって来ている。地中海沿いの遺跡は古代文明、フリギア、ギリシャ・ローマ時代、セルジュク・トルコ時代のものが残っている。アンタルヤから北東のペルゲはアクロポリスの丘を中心に古代都市の街区跡が残り、野外劇場、闘技場、列柱通り、浴場跡の遺跡がまとまっている。また、アスペンドゥスでは野外劇場が地中海沿岸では最も完全に近い形で保存されている。

黒海地域はポントス山脈が東西に伸びており、低地は比較的少ない。トルコでも最も雨の多い地域リゼでは平均降水量が300mmを超え、お茶の産地となっている。サムスンではタバコが特産となっているも主要都市としてはトラブソン、サムソン等があり、観光資源としてはトラブソンのスメラ僧院や古代遺跡となっている。

中部アナトリアはカッパドキアを中心に自然が作り出した奇岩がパノラマのように展開する景勝地である。初期のキリスト教徒が隠れ住んだと言われる岩窟住居等歴史的な遺跡が残っており、見所の多い最大の観光地となっている。ウチヒサールは奇岩地帯を見るのに適地で、カッパドキアの奇岩、地層、街並を360度展望できる。迷路のように広がる地下都市は数カ所あり、デリンクュ、カイマクル等を見学できる。地下の何階にもわたって住居、教会、墓所等が掘られ、キリスト教徒が数万人規模で暮らしていたと言う。

東部アナトリア地方は乾燥ステップ気候。茶色の大地が広がり砂漠の雰囲気を持ったところ。ウルファやガジアンチップ等の南部はシリア平原に連なる。東端のフン湖は巨大な塩水湖で、この辺りは夏になると小さな花が咲きみだれる。イランとの国境付近にそびえるアールダアは標高5,000mを超す名峰である。

今回の調査では、黒海沿岸部については時間の制約から、東部地域については、治安との関係で外務省による海外旅行注意喚起地域となっており、調査ができなかった。この章ではトルコの主要観光資源、観光スポットの中でも視察ができたものを中心に取り上げる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION