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でもこれは決して異常なことではありません。突然大きなショックを受けた後ではごく正常なことなのです。社会的な能力が失われてしまったように見えても、それはショックによるものです。

突然起こった事件や、偶然に被告にあってしまった時、こういう気持ちは強くなります。実際、被害者相談室で遺族の方からうかがう事件は、ほとんどの遺族の方にとってまったく予期せぬ出来事であり、突然愛する者をうばわれるという体験なのです。こういう時、心の傷は深くなりがちです。

またこのような短期のはげしい反応がおさまってきても、今度は長期にわたって別種の心身の不調が続くことも多いのです。事件の半年後くらいまではただ無我夢中で生活しているため症状が出ない人もいますが、たいていの場合半年くらいのうちに、事件のことを思い出してしまって何もできない、何にも興味がもてない、感情がわかない、人が信じられないなどの症状が起こってきます。

現在相談室にいらしている方のなかにはこのような症状に苦しみ、いつまでも立ち直れないのは自分だけではないかと思って、自分を責め、悩んでいた方が少なくありません。グループでの話し合いに出られて同じ気持ち、同じ症状を持っている人が多いのに驚かれた方もいると思います。自分だけが弱いのではないのだ、自分だけが病気なのではないのだということを知ってください。

被害を受けた方や、そのご家族の方はいろいろな問題や悩みを抱えていらっしゃると思います。誰かと話したい、誰かに話を聞いてほしいと思う時は、相談室まで電話をかけてください。月-金の10:00-16:00までスタッフがお受けします。ファクスやお手紙でも結構です。

 

 

 

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