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シート75

 

汚職の誘惑に負けないために

 

1 職員の心構え

 

汚職に巻き込まれないように公務員は以下の心構えを持つことが大切です。

 

(1)社会慣行に動かされない意志を持つ

社会にはいろいろな慣行があり、たとえば、日本では盆暮れなどの贈答が広く行われています。そこで、公務員に近づき、賄賂を贈ってでも目的を達したい業者は、公務員の抵抗感を軽くするため、贈答の慣行を名目として「贈り物」をします。

公務員も社会人として、社会慣行に従った生活をしています。社交的儀礼を名目にされると「むげに断るのも悪い」といった心理が働きます。また、社交的儀礼という口実により接待の回数を重ねることによって、公務員の倫理感覚を麻痺させようとする場合もあります。

 

(2)汚職に対する認識を深める

殺人、窃盗などの犯罪に対しては、誰でも罪の意識を持っています。一方、汚職は、「被害者のいない犯罪」といわれ、直接目に見える形で被害を受ける者がいないため、加害者意識が希薄になりがちです。しかも誘惑してくるのは社会的地位のある者です。そして、汚職は一般に密室で行われるため、黙っていれば誰にもわからないであろうという安易な意識に陥りがちです。こうした意識を戒めるためには、汚職が国民全体の期待を裏切る重大な犯罪で、公務の信頼を著しく損なう行為であることを認識する必要があります。

 

(3)公務員らしい行動を心掛ける

公務員としての規範、倫理に従った行動ができるためには、その規範を知識として認識しているだけでは十分ではなく、その規範が深く身に染み、容易には希薄にならない状態にする必要があります。

 

2 管理監督者の心構え

 

(1)職場の士気を高める

全体の雰囲気が暗く、職員がやる気をなくしているような職場は、汚職の温床になりやすいと言えます。職場や仕事がおもしろくなく、他に張り合いがなければ、何か役得がほしい、金銭を得て、生活を楽しみたいという悪い風潮が広まります。

上司が毎晩のようにどこかへ出掛けるようでは、部下は、「上はうまくやっている。今晩もどこかで接待か…。ばかばかしくて、やっていられない。」と感じたり、「自分も上司になったら、同じように役得を楽しもう。」と思うでしょう。

上司は、率先して身をただし、裏表のない明るい態度で、職場をリードすべきです。真面目で、誠実に公務に励む、その後ろ姿が職場の士気を高め、部下の倫理観を向上させるのです。

 

 

 

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