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公務員の地位の変遷

 

公務員といえば、私たちはすぐにその概念を思い浮かべることができますが、現行の公僕という公務員の地位が確立したのは、近代になってからです。以下、公務員の地位がどのように移り変わってきたかを見てみましょう。

 

1 公にかかわる仕事

 

人類は血縁や地縁による共同体を形成して社会生活を営み始めたとされています。その当時から、占いなど、共同体の利益のために特殊な能力を提供したり、食料の獲得・分配など、共同体全体に関わる仕事に携わる人がいました。「公」の語源が、つながりのある人の間で適切に分配することにあるという事実も、昔から全体にかかわる仕事というものが意識されていたことを意味しています。

 

2 古代の官僚制

 

地域の共同体が都市国家へと発展し、中には近隣を征服して王国となるものも現れました。そして、広大な地域を支配し、被支配民から税を取り立てるための役人が置かれ、官僚制が成立しました。このころの官僚は君主との個人的なつながりが強く、任免や昇進は君主の意向に左右され、財政事情が悪くなると官職の売買が行われることもありました。また、権限を利用した役得自体が、官僚に対する報酬と考えられていたため、任地を私有化し、自ら支配者としてふるまう者も現れました。そして、王朝の統治能力が衰えると、そうした地方の支配者が反乱を起こし、王朝が滅亡することもしばしばありました。

 

3 絶対王制と官僚制

 

公的な支配と私的所有が融合した封建制度下になると、古代にみられた官僚制に代わり、君主と封建領主との関係は領地と軍役を仲立ちとした双務的・暫定的なものとなりました。やがて、商品経済が発達するにつれ、広い地域にわたる秩序の確立が求められるようになり、君主が封建領主の権力を制限し、中央集権体制を確立する必要が生じましたと中央集権化の過程において、封建領主が官僚として君主により取り込まれることもありました。なお、君主の私的な事務などに携わる官僚に比べて、治安維持や税の徴収など国家の存立と密接に関わる事務を行う官僚が増えてくると、官僚の性格は、君主の使用人から国家の代理人へと変わっていきました。

 

4 民主制と公務員の地位

 

国の事務の範囲が拡大し、また、事務の内容が複雑になるにつれ、官僚は、専門性を求められるようになり、官僚が職業として確立していくとともに、君主の絶大な権力の下、特権的な性格を持つようになりました。

ところが市民革命を経て、人民の代表である議会が立法権限などを持つようになると、官僚の特権性を打破し、市民の従僕としての公務員へ、その地位を転換することが求められました。

 

 

 

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