・この内、中林綿布工場の記憶をとどめるために、地区対象は外すことが出来ないであろう。
・また、熊取町の歴史・文化ゾーンの核として熊取町の歴史博物館的性格も必要と考えられる。但し、この時繊維産業の色合いをどこまで強く出すかについての検討が必要である。
・泉州地域や大阪府域を対象とする場合は、やはり近代産業、特に繊維産業に焦点をあてるべきであろうし、整備主体として大阪府の参加が求められる。
・博物館とする場合、それなりのしっかりした機能(学芸員や研究機能等)は備えるべきである。
・一方で、ボランティアガイドの養成や、体験できる施設(綿花から紡ぎ、織り、染まで等)等親しんで参加できる施設が望まれている。
・また、逆に歴史的な先端技術の発祥の地であることの現代的位置づけから、先端技術の研究センターを設け、世界に発信していくことも考えられる。
2] 交流・ふれあい
交流・ふれあい機能については実に様々な提案が出された。これについては、ワークショップでの期待感が最も表れているといっても過言ではない。一般的に考えられる交流施設としてはホール、会議室、研修室、工房、スタジオ等があり、飲食・販売施設としては、レストラン、喫茶、売店等がある。とにかく使いやすく、中身の充実したものが求められているとともに、多用途にそして皆で使いこなしていくことが最も重要であることが確認されたと言える。
・皆で使える熊取町の中心施設としたい。
・人が呼べる施設として、そのきっかけとなる場の提供ができる施設となるべきである。
・そのためには、調査期間中に行った中林綿布工場を利用した染の体験実習等の催しの企画などが重要である。
・文化サークル等でどんどん使ってもらうのは勿論のこと、工房やスタジオ等文化・芸術の定常的空間を用意することも考えられる。
・いろんな使い方ができるような多目的な空間も是非導入したい。
・販売にしても、工場・工房で実際に作ったタオルや織物を売るようなやり方を考えるべきだ。
・広場も活かしながら、地場産業や農産物を幅広く扱っていくことも必要と考えられる。
・交流スペースでフリーマーケットを開くとかとにかく、多くの人が自由に利用していく工夫が最も大切である。
3] オープンスペース
熊取町のなかでもこの通りは旧の集落地であり、狭い道路が入り組んだなかに家屋・工場が密集しており、住環境上問題が多い地域である。その中にあって、広大な更地を含む当地は極めて貴重な位置づけを持っていると言える。今の更地部分には必要最小限の建物整備にとどめ、オープンスペースとして整備すべきと考えられる。オープンスペースの整備メニューとしては、広場、公園、駐車場、親水空間等があるが、忘れてはいけない機能に防災広場がある。したがって、防災機能の充足できる十分な広さをオープンスペースとして確保すること(あまり余計な構築物を設けない)が肝要である。その他考えられることを列記すると次のようになる。
・せっかくの広いオープンスペースであるので大規模な駐車場を設置したくない。国道沿いに駐車場を設けて歩いてもらうことも考える。
・いずれにしても、駐車場については位置、規模について、慎重な検討を要する。
・メインの機能としては多くの人が気軽に訪れる「ふれあい広場」みたいなものとなろう。
・そこでイベントが行われたり、祭の時は「お祭り広場」としてだんじりが集まってもよい。
・公園の空間を利用して、綿花の栽培を行うことも考えられる。
・繊維産業と水との関わりを重視して、オープンスペースに積極的に親水空間を配置する。