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小結-仙田地区のこれから

 

われわれが提案する仙田地区の町づくりは、この地区特有の歴史風土、自然景観を掘り起こし、これらを文化遺産として生かし活性化することであり、そして安心して暮らせる町づくりである。町づくり資源として次のものが考えられる。

1)伝統的民家、集落を文化財「登録文化財」「伝統的建造物群」として評価する

小白倉・大白倉、室島、高倉集落など

2)渋海川その流域の自然や環境を文化的景観遺産として位置づける

渋海川、瀬替え、棚田、森林など

3)歴史的、伝統的な産業や衣食住を評価して復興し、新しい要素を吹き込む

伝統産業(手作り農業、しめ縄づくり、織物、茅・板屋根ふき、炭焼き)

郷土料理(寒九のとろろ、山菜、そば)

民家の再生(住居、福祉の家、達人・工芸の家、交流の場)

4)祭り、行事を住民と外来者との交流の場と位置づける

大白倉のバイトゥ、仙田山菜まつり、岩瀬ホタル観察会、小白倉もみじ引き、渋海川釣り大会、白倉自慢会、岩瀬そばまつり

観光、友好、コミニケーション

 

上にあげた町づくり資源をどう生かすかは、住民、行政そして専門家に課せられた課題である。1)2)にかかわる調査はすでに始められており、その結果の一部はこの報告書に収められている。3)のうち、しめ縄づくりはすでに成果をあげているし、寒九のとろろなどは研究が進んでいる。また、一部の空家はその筋の達人の家として活用されている。

祭り、行事4)は現在おこなわれているものであり、これらを観光、友好、コミニケーションなどの立場からさらにどう発掘させるかが課題である。いま川西町でおこなわれている祭り、行事の主なものを次にあげる。

 

資源/祭り・行事

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※ ○印 仙田地区でおこなわれるもの

 

これらのうちに仙田地区にかかわるものが、大白倉のバイトゥを始めとして7つある。仙田地区で、まつり、イベントが盛んであることがわかる。大白倉のバイトゥはなかなか魅力ある年中行事(本文・うら表紙参照)であり、観光、友好、コミニケーションの資源として大きな可能性を秘めている。

バイトゥは、大白倉の子供たちの小正月行事として、数軒単位でつくるかたちで以前から続いてきた。昭和23年頃に集落内で3軒の火災があり、火は縁起が悪いということでバイトゥは燃やさなくなった。その後、昭和40年代まで燃やさないバイトゥが続いてきたが、昭和50年頃から過疎化で子供が少なくなり自然消滅していった。昭和62年に若い衆の会である「いちょうの会」が村中の行事として規模を大きくして復活し、現在にいたっている。<(1999・2・22:桐生征之介氏より聞き書き>。バイトゥの意味について、地元では、その語源についてまったく伝承されていない。中世修験の火祭り行事に「バイト」というものがあったとされており、これと何らかの関係があるかもしれない。<1999・2・22;村松町、駒形さとし氏(新潟県民俗学会会長)より聞き書き>。

 

 

 

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