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第4節 仙田の神社とお堂

 

仙田地区では神社ごとの氏子の繋がりが根強く残っており、集落における祭事や年中行事、神社の管理などは氏子を中心に行われてきた。しかし日本経済高度成長期以来の急速な過疎と高齢化により大切にされていた伝統的文化が薄れつつある。仙田地区13集落のうち2集落は廃村という結末を迎えており、社寺も荒廃の一途をたどる。その他の11集落も過疎の及ぼす影響は大きく、その存在を忘れられつつある社寺建築が多い。今回の調査報告は実測調査で得られた建築資料等をもとに仙田地区の社寺建築の現状把握と建築年代の推定をおこない、仙田地区の社寺建築に、いまだ確立されていない近世社寺建築の複合社殿の本殿・拝殿についての定義がどのくらい行えるか考察し、その価値を見い出すことを試みる。そして仙田地区の社寺建築を今後どのようにして保存していけるか考える。

 

1 仙田地区社寺建築の現状

まず神社の現状について説明する。仙田地区には15件の神社がある。屋根は以前に茅葺きだったものもトタン葺き、瓦葺きにかえられている。神社の管理状況についても仙田地区の住民はそれぞれ氏子当番を決めそれぞれ管理をしている。また仙田地区神社には数多くの石碑が存在する。実測調査のさいに見られたものは石碑・石像・墓石の3種類である。

次に堂についてである。仙田地区には堂が9件、寺院が1件ある。屋根はすべてトタン葺となっている。堂の管理は個人が管理している場合が多い。石碑、石像、墓石等がみられた。

仙田地区の神社、堂の両方がそれぞれ最低限の管理がなされており、住民にとっての社寺に対する認識の強さがうかがえる。

次に御神体・本尊の移動状況についてである。川西町仙田地区13集落(内2集落廃村)で現在、神社・堂の建物は残っていないが、その御神体や本尊などが残っているケースが多いことがわかった。聞き取りと文献(川西町史)から、廃社等となった数は、神社が3件、堂が11件の計14件となっている。

 

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室島氏子の分布図

 

 

 

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