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ここでεnは±1の範囲で一様分布する数列、Tは区間内の気候値の勾配が区間の代表値にもたらす見かけ上の水温偏差である。この見かけの水温偏差を評価するために、δT=1を仮定して、εnを乱数で生成し、T(N)のアンサンブルとして得られる誤差を見積もった。すなわち、i番目の試行によって得られる見かけの水温偏差を

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とすれば、

 

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が、区間内の気候値の勾配から生ずる見かけの偏差である。この誤差はδTに対して単に比例しているので、δT=1について一旦求めておけば異なるδTについてもそれを乗ずるだけで適切な値が得られる。そこでI=1000, N=30 としてσを求めたのがFig.1である。おおむねNの-1/2乗で減少し、比例定数を0.6とすると良い近似が得られる。

温度勾配が一定と近似できる場合には、一次元であれば上の議論で十分であり、問題はδTを求めることに帰着される。しかし実際には水平2次元と時間を含めた3次元空間を扱う必要がある。この際に、SSTの変化のスケールがBOXの大きさよりも大きければ、東西・南北・時間(月)のそれぞれの方向に±δTx, ±δTy, ±δTtの範囲の一様分布を仮定することは適当である。しかし、3次元のBOX内で取る、最大最小値は ±(δTx +δTy,+δTt) で規定されるものの、この範囲での分布はもはや一様ではなく、ゼロ付近に大きな存在確率を持つ分布となる。ただし、δTx,δTy,δTtのうちどれか一つが卓越する場合には、分布の形状は台形で良く近似できるので、その分布をさらに

 

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の範囲の一様分布として矩形分布で近似しよう。ただし(4)では、δTy >>δTx,δTtと仮定した。

 

 

 

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