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海上気温

 

図2.9および巻末資料に通年および北半球夏季・冬季における海上気温の平年値の全球分布を示す。海面水温同様に20世紀前半は、データ数が不十分であるため、高緯度および太平洋赤道域の分布が明瞭ではない。逆に、南半球太平洋東部の南緯40〜60°、西経90〜120°付近では20世紀後半のデータでは分布が得られず、20世紀前半のデータでは比較的明瞭な分布を示している。

等値線はおおよそ海面水温分布と同様の分布傾向となっている。しかし、前に示した図2.3の海面水温と海上気温の差の全球分布によると、暖流が存在するアジア東岸、北米東岸海域および両半球高緯度においては、海面水温に比較して海上気温は低い分布となっている。

 

海面気圧

図2.10および巻末資料に通年および北半球夏季・冬季の海面気圧の平年値の全球分布を示す。両半球の緯度20〜40度付近に亜熱帯高圧帯が形成されている。この高圧帯は夏季に高緯度へ、冬季には低緯度へ移動している。北半球の北太平洋高気圧と北大西洋高気圧は冬季より夏季の勢力が強い。海洋の亜熱帯高気圧の中心は海洋東部に偏っている。これは海洋東部を寒流が南下することと関連している。従って、大陸西岸は大規模な下降気流の場にあり、雨量の少ない乾燥した気候となる。一方、赤道地方は両半球の亜熱帯高圧帯に挟まれた低圧帯となっている。 

図2.10では20世紀前半と後半では分布の特徴に顕著な差異は見あたらないため、図2.11および巻末資料に通年および北半球夏季・冬季の20世紀前半とに20世紀後半の海面気圧の差(後半-前半)を詳細に示した。これらの図より20世紀前半に比較して特に海面気圧が上昇している海域は、北半球夏季においてはアジア東岸から東南アジア、北米西岸海域、北大西洋高緯度、南半球高緯度であり、北半球冬季においては北太平洋西部、北大西洋高緯度、および南半球高緯度である。通年では北太平洋西部と北大西洋高緯度、南半球高緯度海域の気圧上昇が顕著に認められる。逆に20世紀前半に比較して特に海面気圧が下降している海域は、北半球夏季においては北太平洋中部、大西洋低緯度であり、北半球冬季においては北太平洋東部、大西洋中緯度である。通年では大西洋中緯度における気圧の下降が顕著に認められる。海面気圧の分布の特徴から、北太平洋および北大西洋高気圧内の海面気圧がやや低下し、周辺海域の海面気圧がやや上昇しているように思われ、この結果は東西循環の変化傾向を示唆していると考えられる。

 

 

 

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