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第2部  海洋気候の長期変動解析*

 

第1章 海洋気候の統計解析

 

1.1 概要

 

本章では品質管理を行ったKoMMeDS-NFおよびCOADS(Comprehensive Ocean-Atmosphere Data Set)をもとに、船舶海洋気象データの持つ不規則誤差および系統的誤差を評価した。また、20世紀前半と後半の30年平年値の全球分布を示し、両者の差を求めることにより海洋気候の変化の特徴を把握した。

 

1.2 不規則誤差の算定

 

一般にデータの時間平均値には、不規則な日々変化に起因する不規則誤差(気候ノイズ)が介在する。更にCOADSの月平均値には、1ヶ月および緯度経度2度格子内での日々の観測データの時間的空間的非均一性に起因する不規則誤差が介在している。これらの気候ノイズは構造関数を利用して算定できる(Gandin、1963・山元、1979)。

月平均偏差をTとすると、比較的時間スケールの長い組織的に変化する成分TLと気候ノイズεの和として表せる。

021-1.gif

2度格子の時系列データにおいて時間差△tに関する構造関数S(△t)は、

021-2.gif

ここで、over barは時間tに関する平均を示し、TLとεとの間およびεtεt+△tとの間に相関はないものと仮定している。さらに、時間差0の極限では次式によりεが算定できる。

021-3.gif

 

* 坂井紀之

 

 

 

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